こっせん?

田舎のお話♪

田舎

「都会に生まれたかった...」
16年前このM県n市に生を受けた僕は何度この言葉を口にしたのだろう。
何も無い。あるのは山と畑と海でしょうか。
「M県って良いよね〜。お肉とかマンゴーとか美味しいものが沢山あるでしょ?良いな〜♪」
中学時代に修学旅行先で会った人に言われた。
あのねぇ、確かにそれらはうちの県の特産品かもしれませんがね、我々一般人の口に入ることなんて滅多にございませんよ?ファミレスでマンゴーシロップのかき氷を頼んでテンション上げるレベルです。
何も無い。新幹線も通ってない。あるのはローカルTVのビルぐらいでしょうか。
「たくさんの自然の中で子供を育てれば、心豊かな人間になる。」
M県にたった2つしかない民間放送を見てた時に、専門家とやらが言っていた。
あのねぇ、まさに自然豊かなこの地でもイジメとかはあるんだよ?

はぁ、いくら考えても結局たどり着くのはこの言葉

「都会に生まれたかった...」

4月8日

神様というものが存在するのなら、僕は一言物申したい。
「なぜ、僕を田舎に生んだのか。」
ホントに不平等だ。生まれた時から都会で過ごしている者は沢山いるのに、僕は山の中だ。
都会の子がゲームをして遊んでる時期に僕は木登りをして遊んでいた。
別に我が家にゲームが無い訳では無い。
でもさ、「スーパー〇ァミコン」だよ?今2000も10年代だよ?

はぁ、「都会に生まれたかった...」

と、朝起きて布団からも出てない僕は大きなシミのある天井に向かって呟いた。

僕は市内の進学校に通っている。今日は始業式だ。
毎日12km離れた学校までチャリで登校している。お陰様で帰宅部なのに足筋が凄い。

さて、朝ご飯、歯磨き、着替え、いつも通りの事いつも通りこなせば早速チャリンコにまたがり学校へ向かう。
ふと思い出したように一言

「今日から2年生だ。そーいや。」


「うぃーっすうぃーっす!おはよう剛人!今日から2年生だぜ!」
「うん。知ってるよ。」
「おお、知ってたかー!そーかー!朝のSHRで新しいクラス発表されるらしいぜ?楽しみやっちゃけどー!」
「そーだねー。」
やけにテンションが高いこの男は「隣 裕也」。去年1年生ながらバスケ部のエースを勝ち取った男。いわゆる「出来る男」だ。
ちなみに僕は全てが普通。勉強もスポーツもトークも何もかもが普通。
田舎に生まれてその上普通人間。
神様は僕にこう言いたいんだろう。

「シンプルイズベスト」

僕は3階の教室に向かった。

こっせん?

こっせん?

都会に憧れる少年「重黒木 剛人」と新任の教師「田中 一郎」がおりなす愉快な日常。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-23

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  1. 田舎
  2. 4月8日