ふたりの絆④

第1章 ホタルの死(後半)

ホタルが死んでから3日後、ヒカルは母親と2人で町内にある火葬場に

ホタルの亡骸を持っていき弔ってもらった。

煙突から立ち上がる煙に、静かに手を合わせる。

(ホタル、11年間家族でいてくれてありがとう。)

天国に向かうホタルに、ヒカルは心の中で御礼を言った。

ホタルの遺骨は、福井県勝山市のお寺に納めることになります。

係りの人が教えてくれた。

後に、このお寺にアカリと同行することになるとは、想像もつかなかったヒカルであった。

ホタルの火葬を終えて10日間程たったある日、母親に真相を聞こうとした。

母親も、気持ちの整理がついたのか話してくれたのである。

母親によると、ホタルを散歩に連れて出たとき、近所の大型犬と喧嘩になり、咬まれたのが致命傷で間に合わなかった。

先方の人も、動物病院まで付き添ってくれたとのことだ。

ヒカルは、やり場のない怒りを抑えた。

相手の方は、ヒカルもよく知っている御夫婦だった。

動物を飼われている人にお願いがあります。

人間の都合で殺される動物はなにも喋れません。

飼う人は、最低限のマナーを守っていただきたい。

悲しい思いをしないためにも・・・。

ホタルが天国に行ってから1ヶ月が過ぎた頃、ヒカルは母親に聞いてみた。

「また、子犬飼おうよ。」

母親は目をそらし、ため息をついた。

「あんな辛い思いは、もうしたくない。」

本音だとヒカルは悟ったのである。

ホタルは今もヒカルの家にいる。

玄関の下駄箱の上、写真となってみてくれている。

                          →「第2章 アカリとの出会い」をお楽しみに。  12/22更新

                          ホタル:ヒカルはホタルの死によって精神的に大変だったと思います。
                              ペットを飼われている方は、共感できる部分があるのではないでしょうか。
                              次回のお話で、ヒカルはアカリとどのような出会いをするのか気になりますね!

                      -4-

ふたりの絆④

ふたりの絆④

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-22

CC BY-NC-ND
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