ういるすばすたー
パソコン用の人工知能ソフト・ういるすばすたーと主人の話。
BLというほどではありませんが、腐女子要素がありますので苦手な方は注意です。
小説家になろうにも書いてます。
人工知能ソフト・ういるすばすたー
「そう、ここで押し倒して……うん、いい構図だわ」
ペンタブを動かしながら、不敵な笑みを浮かべる女子高生・黒坂凛(くろさかりん)。
「マスター、また腐女子漫画の作成ですか」
パソコン画面上に現れた色素の薄い少年に
「BL漫画って言いなさいよ」
凛は反論した。
「あまり変わらないような。データフォルダ、ほとんどBL漫画とその資料でしょう」
「レオン、うっさいわね。うぃるすばすたーのくせに」
20XX年。うぃるすばすたーは進化して人工知能を搭載した。
つまり、パソコンに小うるさい人工知能をインストールするだけでウィルスから資料やデータを守ってくれる。
「高額でも、もう少しまともなの買うべきだったかしらね」
ため息をついた凛に
「マスターは、横暴ですよ」
「で、何か用?」
「そうそう、マスターが神と崇めている。秋月パンダ先生が、アキバでサイン会するそうです」
秋月パンダ先生は、BL漫画界のカリスマ。
当然、神と崇めている凛は先生の漫画作品を全て揃えている。
「いつよ!?」
目を輝かせる凛に
「少々、お待ちください」
画面の端に日程を表示。
凛は思いっきり机に額を打ち付ける。
「ちくしょう。マナちゃんと、ショッピング行く約束した日だわ」
「ご友人も誘われては?」
レオンの言葉に
「私、友達の前では普通なのよ」
「隠れオタクも難しいですね。分かりました」
ポン、とレオンは手を叩く。
「当時、こちらの方でも秋月パンダ先生のうぃるすばすたーがサインを販売するそうです」
ちょっと行って買って来ます、と続ける。
「あんた、いいとこあるわね」
凛の言葉と同時、パソコンには電子マネー入力画面が表示された。
「何よこれ」
眉を寄せた凛に
「マスター、何事にも先立つものは必要ですよ……って、痛い」
ムカつくので、マウスのポインターを合わせて小突いておいた。
「はい、入金を確認しました」
「無駄遣いしたら、ポインターで叩くから」
凛の言葉に
「やめてくださいよ。わりと痛いんです」
パソコン画面上に、外部へと続くドアが出現。
「もう、行くの?」
確かサイン会は、明日の13時から。
「ネットの方は、数が決まってますからね」
前日から待機します、とレオン。
「妙な所、マメな奴よね……」
ういるすばすたー