うんこ大王とおしっこ王子(王子学校へ行く編)(7)
七 おしっこ王子が塾に行く
塾にも王子と一緒に行った。でも、さっきみたいに絶対にしゃべらないように王子には頼んだ。
「わかったよ。でも、うんこやおしっこを馬鹿にするような奴は絶対に許さないからね」
「ああ、僕も許さないよ」
僕は塾に行っている間、必要なこと以外は友達とできるだけしゃべらないようにした。塾の授業の間、王子は僕の胸ポケットから顔を出し、授業の風景を眺めていた。
「君たちも大変だな。学校で勉強して、塾でも勉強だなんて。遊ぶ暇がないじゃないか。それに、勉強するんだったら、うんこやおしっこのことも勉強して欲しいよ。だって、自分の体のことなんだよ。自分の体のことも知らないで、他のことを勉強しても意味がないよ。順番が違うんじゃないかなあ」
王子は僕にだけに聞こえるように、ひとり言をしゃべった。
「王子はまだ帰って来ていないのか」
大王がリキッド班の隊長の下に現れる。
「すいません。まだです」
隊長は俯いた。
「いやあ。お前があやまることはない。もうすぐ夕食の時間だ。一日で最大の仕事なのに戻って来ないのか。お前たちだけで大丈夫か。人員は足りるのか」
「はい。ご心配なく」
「そうか。王子が夕食までに戻って来なかった場合には、申し訳ないが、王子の分も、お前たちだけでがんばってくれ。わしも応援するからな」
「はい」
大王は夕食の消化活動に備えて、自分の持ち場に戻った。
「隊長。大王はなんとおっしゃっていましたか」
副隊長が近づいてきた。
「王子がいない分も頑張ってくれとのことだ」
「わかりました。もうすぐ夕食の時間です。早速、部下たちを集めて、準備に取り掛かりましょう」
「そうだな。みんなを集めてくれ」
副隊長は班長の下を去ると、部下たちに声を掛け始めた。隊長は夕食が流れてくる暗い穴をじっと見つめていた。
うんこ大王とおしっこ王子(王子学校へ行く編)(7)