つなぐ想い~春夏秋冬~
■春■
いつからだろう
記憶がないの
あたしは春が嫌いになってた
生命が動き出す力、眩くて
浮かれはしゃぐ言葉、苦しくて
色彩溢れる世界、悲しくて
不安な心が何故見えないの?
街行く人の疲れた瞳は
艶やかな色が塗りつぶしてしまうんだね
道はまっすぐじゃない事
誰もが知っているのに
【どこで道間違えたんだろう】
なんて
どうか自分を責めないで
迷子は子供だけじゃない
押し出され舞い散る桜の花びら
桜は間違えた訳じゃない
春は先行逃げ切りじゃない事を
心の隅でいいから覚えておいて
あなたの足で
あたしの足で
歩みだすその瞬間が
人それぞれの春爛漫
■夏■
強すぎる日差しの午後
蝉時雨が聞こえない
あの夏には当たり前だった
煌く景色が見つからない
耳澄ましても聞こえない
纏わりつく熱風がニヤリにやり
思考や命のパワー奪っていくわ
昔は良かった…なんて
なんの慰めにもならないね
現在(今)を受け入れること
出来ないあたしは
立ちすくみ響くように嘆き喚く
たった独りの蝉時雨
もう戻せない夏を懐かしむ
生ある限り繰り返す
この哀しみを。。。
■秋■
ひらり
ひらり
心が痛い
はらり
はらり
涙が痛い
【こんな日ばかりじゃない】
そう思いたい
【こんな日もあるわ】
笑って言いたい
―願う気持ちが
明日を見つける
―祈る想いが
明日へと繋がる
そう信じて1歩踏み出してみよう
■冬■
雪降るのが冬ならば
もう消えてしまったのかもしれない
コーヒー色した雪だるま
あたしの中には存在しない
それでもはしゃぐ子らを見て
切なくなるの
苦しいの
何年、何十年後の冬
「雪って何色?」問いかけられて
「白かった気がする」
そんな言葉
そんな記憶
語り継がれないように
あたしに何ができるだろう…
四季折々のこの国に
生まれた事が幸せと
つないで行きたい
守り続けたい
つなぐ想い~春夏秋冬~