『愛し、愛されて』

私は、あこがれてる。 小さいころから、ずっとずっと見てきた…たくさんの人々。一度も話した事がない。当然、か。

…私は『人』じゃないから。みんなを傷つけたら大変だもんね 

姿は人。なのに、私には変な能力がある。それは、願っただけで人を『死』という名の終わりに導く事ができる能力。能力といっていいかはわからないんだけど、私はそう読んでる。当然だよね。誰も近寄ろうなんて思わない。
一度でいいの。楽しそうに笑っているあの人たちと話してみたい。

けど、あなたは許してくれないんだよね?

学校へ登校する。私から避けるように、クラスメイトがよけていく。
つらくないよ、もう慣れたから。
机は私だけ後ろのほうに寄せられてる。
先生は何も言わない。いいの。私が悪いんだから。
私のせいで何人もの人が死んだんだから。私のせい。自業自得。当然の報い。

ひそひそ、ひそひそ…

クラスメイトたちのささやく声。

私を不快にさせる、その声。

「…知ってる?あの子、人が死んでも何も思わないらしいよ?」
「うっそー?まじで!?最悪じゃんっ、それ!」
「正直さー、ちょっとうらやましいよね?願ったら、自分の関係のないところでみんな死ぬんでしょ?証拠がないし、能力なんてわけわかんないから、捕まんないしさー。」「それめっちゃいいじゃん!自分から言わなきゃばれないしー?」
「実はあの子が自分で殺してるんじゃないかってうわさもあるよ?」
「マジで!?あの子って、家族も全員死んでるんでしょ?じゃあ、それもあの子が…?」
「小学校のとき、学校に侵入してきた不審者のせいで、あの子以外全員死んだんだってよ?うん良すぎw」
「ってことはさ、ここまでの話を聞くと、みんなが死んでるときに自分だけ生きちゃってる運のいいやつ、ってことじゃね?」
「確かに…じゃあ、人殺せるって嘘?あいつの勘違い?」
「…ってかさー、うざくね?何で1人でうつむいてんの?きもいんだっつーの。」

―――がたんっドシャ…

机が女子生徒によって蹴られ、中に入っていた教科書が床に散らばる。拾おうと立ち上がった私のところに、さらに蹴りが打ち込まれる。床に倒れこんだ私の腹部に、また別の女子からの蹴りが…。



「ちょっと…まずいんじゃないの?二人ともさ…。」
「うっせーなー…第一こいつ、ほんとに人殺せんの?悔しかったらあたしのこと殺してみろよ?そしたら信じてやるって。」
「言えてるー!ただの妄想じゃね?ばーか。自分で殺してるんだろ?殺人マニアー。」
だめ。願っちゃ…だめ。今願ったらだめ。この人たち、死んじゃう。違う、違うよ…人を殺す事を楽しむわけ、ないじゃん。
でも…だめなの。もう…耐えられない。

『こんな人たち…死ねばいいのに』。

つぶやいたとたん、私の意識が途切れた。
朦朧とした、ぼんやりとした記憶の中で最後に見たのは…鮮やかな血の色。
あとは、口の中に広がる鉄の味だけ…。





目が覚めると、自分の家のベッドの上。

「また…やっちゃった…。」
『気にしなくていいよ?君の事は、僕が守るから。』
ぼんやりとつぶやく私の頭に響くのは、私の中にいる私に恋した哀れな『鬼』の声。

彼は私に恋した。私のことを愛した。だから、私のことを守ってくれる。私の願いをかなえてくれる。
彼は私には自分だけがいればいいと思ってる。だから、私が望まなくなったとき、彼は彼らを不必要と判断する。





彼は、そんな優しい『鬼』 なんだって。

『愛し、愛されて』

『愛し、愛されて』

なんとなく書いてみた作品です。 完成度低いです。…暇つぶしにでもどうぞ。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-23

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