二重奏
僕が手になろう。
だからキミの手はもう要らないね。
僕が足になろう。
もうキミは自分の足で歩く必要は無いんだ。
お外に出掛けたいときは僕が背負ってあげるし、林檎が食べたいときは僕がうさぎの形に切り分けてあげよう。
だからもうどこにも行かないで。
この部屋を出るなんて、二度と言わないで。
だってそうだろう?
キミは、僕の目になってくれるって言ったよね?
僕の耳になってくれるとも言ってくれた。
僕の両目をアイスピックで串刺しにしたのも、掃除機を使って僕の鼓膜を破ったのも、僕と同じ考えなんでしょう?
僕がどこにも行かないように。この部屋を出るなんて、僕が二度と言わないように。
二重奏