ふたりの絆

ふたりの絆

(ホタル、約束通りアカリを連れてきたよ。) 

(今日は、結婚の報告だよ)

2人は静かに蛍のお墓に向かって、手を合わせた。

アカリの薬指には、真新しい指輪が光っていた。


初めまして。

私は、23歳の夢を追い続ける女性です。

この物語は、ある男性からもらった1冊の本の物語です。

ある男性は、私にいいました。

「この物語をたくさんの人読んでいただきたい。」

と言われました。


登場人物

・男の名前は:ヒカル(28歳) 独身の会社員

・女の名前は:アカリ(22歳) 独身

この物語の中に登場する人物名はすべて仮名にさせていただきます。

ある男性に起きた、縁と絆の実話をもとに書いたノンフィクションの物語です。

告白


2015年6月末。

ヒカルはアカリを連れて、2回目の「蛍」見物に来ていた。

2人がいるのは、岐阜県西濃地方の横蔵というところである。

初めてここに来たのは、今から3年前のことだ。


まだ2人が付き合い始めて間もない時である。

あれから3年が過ぎた。

3年間を長いと思うか、短いと思うのかは、当事者の気持ち次第であろう。

ヒカルは、ある決意を持ってここに来たのだ。


夜8時を過ぎたころ、辺りは暗闇で包まれている。

「ほら、あそこで光だしたぞ」

アカリに指をさして教える。

「どこ?よく見えない」

きょろきょろ顔を動かしているアカリ。

しばらくすると、あちらこちらで光の点滅が始まった。

「きれーい!すてきだね」

アカリがヒカルの顔を見て言った。


1匹の蛍が、何かに引き寄せられるようにアカリの方向に飛んできた。

アカリは蛍を捕まえようと、そっと手を伸ばした。

すると、蛍はアカリの手の指先に止まり怪しく光始めたのである。

まるで指輪のように・・・


ヒカルは、天国のホタルが力を貸してくれた今がチャンスだと直感した。

「アカリ、ちょっといいかな?」

ヒカルは、目の前にいるアカリに真剣な表情で言った。

「どうしたの、ヒカル」

キョトンとした顔でヒカルを見つめるアカリ。

ヒカルは、アカリの両肩に手を置いて言った。

「アカリ、蛍のようにずっと僕のそばで光っていてくれませんか」

アカリは一瞬、下をむいた。

そして、顔をあげてヒカルに答えた。

「はい、そばで光ります」

その目は潤んでいた。

アカリの指先にいたはずの蛍も、いつの間にかいなくなっていた。

自分の役目を果たしたのだろう。

ヒカルは優しくアカリを抱きしめた。

2人を祝福するかのように、蛍が乱舞したいた。

数日後の吉日、ひかるはアカリを車に乗せて徳島県へ向かっていた。

アカリのご両親に会うためである。

アカリは、朝が早かったのか助手席で寝ている。

ヒカルは、そんなアカリの寝顔を見ながら頭の中の記憶を振り返るのであった。

                
                                                続く      →「回想」をお楽しみください。  12/13更新       

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ふたりの絆

ふたりの絆

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-13

CC BY-NC-ND
原著作者の表示・非営利・改変禁止の条件で、作品の利用を許可します。

CC BY-NC-ND