SPEC NURSE続き3
「いーよいしょっとぉ…ってか重!あんのクソばばぁ
いっぺん持ってみんしゃいってばよ」
ようやく点滴薬を運び終えた麻衣は、自分しかいないのを
良い事に愚痴をこぼしていた。
「ったくどいつもこいつも。玉の輿なんて。
男なんて簡単に飛びついちゃいけないんだから…」
あの忌まわしい記憶がよみがえる。
頭痛がひどい。呼吸も荒くなっている。駄目…思い出しちゃ。
こんな事をしている場合では無い。はやく仕事に戻ろう。
戻ろうして振り返ると、
「ひっ」
見慣れない女が立っていた。こちらをじっと見ている。
身長は麻衣よりも少し低めだが、くるんと綺麗内巻きにした
ボブヘアーと、色白な小顔が印象的。一言で言えば美人だと思う。
まるで人形のように整った顔立ちだった。
黒目がちな瞳、桜の花びらのような唇で、何故かナース服
を着ていた。
「なっ誰なの…あんた…もしかしてナース?」
フッと鼻で笑って、
「新米ナースも大変ですなぁ」
と小馬鹿にしたように言って、じゃ、とその場を後にした。
一人取り残された麻衣は、しばらくぼーっとしていたが、
「ああっ!!聞かれたー!!!!」
と、自分の愚痴を全て聞かれていた事に気付いたが、
もうすでに遅かった。
SPEC NURSE続き3