SPEC NURSE続き3

「いーよいしょっとぉ…ってか重!あんのクソばばぁ
いっぺん持ってみんしゃいってばよ」
ようやく点滴薬を運び終えた麻衣は、自分しかいないのを
良い事に愚痴をこぼしていた。
「ったくどいつもこいつも。玉の輿なんて。
男なんて簡単に飛びついちゃいけないんだから…」
あの忌まわしい記憶がよみがえる。
頭痛がひどい。呼吸も荒くなっている。駄目…思い出しちゃ。

こんな事をしている場合では無い。はやく仕事に戻ろう。
戻ろうして振り返ると、
「ひっ」
見慣れない女が立っていた。こちらをじっと見ている。
身長は麻衣よりも少し低めだが、くるんと綺麗内巻きにした
ボブヘアーと、色白な小顔が印象的。一言で言えば美人だと思う。
まるで人形のように整った顔立ちだった。
黒目がちな瞳、桜の花びらのような唇で、何故かナース服
を着ていた。
「なっ誰なの…あんた…もしかしてナース?」
フッと鼻で笑って、
「新米ナースも大変ですなぁ」
と小馬鹿にしたように言って、じゃ、とその場を後にした。
一人取り残された麻衣は、しばらくぼーっとしていたが、
「ああっ!!聞かれたー!!!!」
と、自分の愚痴を全て聞かれていた事に気付いたが、
もうすでに遅かった。

SPEC NURSE続き3

SPEC NURSE続き3

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-22

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