紙の公園1~5

紙の本はいい。
紙をめくる指先の感覚、紙の匂い、本の全てが好きだ。
僕は、公園のベンチの木陰で本を読むのが最近の自分の流行りである。
4月、その公園は桜が満開になるが桜より僕は本を読む。
僕は、何故ここで本を読むようになったのだろう……

僕は、颯馬遙人。今年で高校3年になる。
水泳部に所属しているが、進学クラスで昨年から、ろくに部活に顔を出していない。
でも、いくら進学クラスと言っても春休みに顔を出さなかったのはまずかっただろうか、と遙人は新学期始まって思ったが流石に覚えてないだろうと思ってその考えをひと蹴りした。
入学式も終わり帰ろうと思ったが、今日は歩きで来たのを忘れていた。
なんで朝の気まぐれで歩きで来てしまったのか、全然覚えない。
「仕方ない、歩いて帰るしかないか。」

いつもは自転車で何気なく2年間通っていた道だが、今日は何だかいつもの道がまるで違う世界に迷い込んだようだった。
いつも見ているようで、まるで見えてなかった、そこにもあそこにも細道があり、ただの一本道ではなかったんだなと、遙人は思った。
道を歩いてる途中、ふと1本の小道に目が止まった。そこの小道の奥には、綺麗な薄紫色の藤棚があった。

遙人は知らず知らず吸い寄せられていた。
「通学路にこんなとこあるなんて知らなかったな」1人なのに思わず言ってしまった。
藤棚を見ながら、進んで行くとそこには、公園があった。子供は誰1人いず遊具の類はまるでない寂しい公園に見えた。
ただ遙人には充分満足できるものが、そこにはあった。
大きな木々の下にベンチが3つほどあったのだ。遙人は、真っ直ぐにベンチに向かった。

そこは、桜の木陰に丁度掛かっていて風が吹けばとても気持ちいい春風だった。
ここなら、人も少なく気持ちよく、本を読むのにちょうどいい場所だった。
公園の名前を探したが、見当たらなかった。
遙人は、この公園のベンチに惹かれていた。
気づいたら1時間もたっていた。

紙の公園1~5

誤字などあったので、直しました。
本当にありがとうございました。

報告してくれた方     言葉(ことは)さん     http://slib.net/a/17649
詩を書いてる人です。是非読んでみてください。

紙の公園1~5

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-12-04

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