巌(いわ)になる。

巌の中にいると、何もかも聴こえるの。
貴方達の心の叫びが。

彼女はいわの化身であった。

昔話をしよう。


この村にはいわの化身がお住まいになっている。
真珠のように透き通った肌。
琥珀色に輝く瞳。
海の輝きを移したような髪。
宝石のようにキラキラと輝きを放つ明るい性格。
すべてが完璧落ち度無し。

しかし巌様はこの村に仇成す者でもあった。何故なら・・・。

『年の暮れに、邪を呼び出すもの。』
 
年の最後、12月31日彼女は再び巌となり村は無防備に邪の餌食となったとさ。



「いやぁぁぁあああ!!!!」
グシャ
「巌さまぁぁぁああああああ!!!!!」
ぐしゃぐしゃ
「何で来てくださらないのぉぉおおおおお!!!!」
ぐしゃぐしゃぐしゃ
「あいつだあいつがいけないんだ」
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
「何で来ないんだ」
ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃグシャ
「あいつは俺達を見捨てた」
「あいつがいけないんだ。」
「私たちを助けに来ない。あいつが」
「あいつが、憎い。」
「ころしてやるわぁああああああ!!!!!!!!!」

パキッ







「ちょっ!!大丈夫ですかっっ!?」


12月31日。
それは彼女が村人達に殺される日であった。







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        淡い話を。

巌(いわ)になる。

巌(いわ)になる。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-28

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