人魚姫

私は人魚姫になってしまった。

「ア、アア、アウア」
私のお願いは今だ叶えられていない。



-----「貴女の望みを叶えましょう!」---

私の、望み?

---「そうですとも!人間生きてると一個くらい出来ますでしょう??」---
---「貪欲で傲慢で我が儘なちゃちなお願い事がね、、」---

人間の欲を貪欲で傲慢で我が儘と言った目の前のピエロは笑っているのか

否、嘲笑っているのか。

「私の望みは・・・」

「・・・・・。やっぱり、、」

---「はぁい、!確かに貴女の望み、聞き受けました」---

「まって!!」

---「無理ですねぇ?だって貴女は願ってしまった。」-----
ケタケタケタ、ケタケタケタとピエロは私を嘲笑って消えた。

ごめんなさい。ごめんなさい。貴方のためだから、、どうか

「どうか許してね、」



3年前


「Hello、Honey!元気にしているかい?こっちは大変でさぁ、もー一日も早く帰ってハニーのご飯が食べたいや」

「あらあら、自分が単身NYなんかに行っちゃってもう気付いたら3年よ??あとちょっとでしょ、頑張ってね」

「あ、そうだハニー!君に朗報だよ!何と僕・・・・・」

??

「明日かえるから!!」

!?!?!?

「えっ、どうして!!あと早くて1年はかかるって、、」

「ヘッへーん僕頑張って早く終わらせたんだー!!」

だから、
「だから帰ったら、正式に結婚しよう」

私は次の朝とってもとっても待ち遠しくて、朝なのに唐揚げとエビフライとハンバーグといろいろ作って、子供っぽいご飯ばっかりだね、なんて言われるかななんて思いながらふとつけたニュースに目をやった・・。

「速報です。只今NYから成田空港ヘ向かって来た航空機が、太平洋近海にて墜落する事故が発生しました。なお、この事故により亡くなった犠牲者の名前を公開します」


畳 直紀 


え、


貴方、


死んじゃったの、、、?


嘘よこんなの、信じないわ。


---帰ったら、結婚しよう----

翌日、私の元に直紀君の遺体が届いた。 

ポケットの中に指輪が入っていた。



「直紀君を助けなくちゃ」


--「ハァーイ、その願い叶えましょう!」----

--「貴女の貪欲で、傲慢で、我が儘なその願いを私めにおきかせくださぁい?」--

「わ、私の願いは、、」

--「あ、ちょっと待ってください??」--

--「願いを聞くには何事も代償が必要です、貴女の何か、を頂きますが宜しいですか?」--

「かまいません」

貴方を助けられるのなら、私はなんだってします。

--「では貴女の[声]を代償に、彼の命を返しましょう。」---

これで、貴方の顔が、見、ら、れ、、る、、、、、、、、。



私は人魚姫になってしまった。

私の願いは叶えられていない。









ピーンポーン、

「梢ちゃーん?帰ったよー、僕だよー!」

「・・・!!!」

『直紀君っ!!』

「おっと、どうしたの?梢ちゃん?」

え?、あれ?

『聞こえているの?、私の声が』

「もちろんだよ!!」

『何で、、?何で聞こえているの?』

「それは僕が、、、」

「僕が君の旦那さんだからかなー」

そう言って強く抱きしめてくれた彼の表情を私は知らない。









「梢ちゃん、僕を助けてくれて、ありがとう。」


ケタケタケタ。

人魚姫

間が、、、

人魚姫

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-23

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