雨宿り

黒猫

シナリオです。
400字詰め2枚でまとめました。

○紗季の職場・廊下
紗季、携帯電話で話している。
紗季「家に入れたら、あかんで!最後、保健
所に連れて行かなあかんのん、お母さんや
ねんから。分かった?」

○河川敷・高架下
すみれ、携帯電話で『保健所』を検索す
る。
段ボール箱の中の子猫達、無邪気に鳴く。
雨粒が川に落ちていくつも波紋を作る。
すみれ、青ざめた顔で携帯電話を眺める。
増水した川は河川敷にまで溢れ出し、水
がジワジワと足下にまで近づいてくる。
すみれ、条件反射で子猫の入った段ボー
ルを抱えて土手の上に駆け上がる。

○駅・構内の改札前
すみれ、子猫達を抱えたまま座り込み、
ハンドタオルで自分と子猫達の頭を拭く。
紗季、携帯電話で話している。
紗季「もう閉めたって……私も困るんですよ。
仰山おるし……はい」
すみれ、不安そうに紗季の服を引っ張る。
すみれ「殺されるん?この子ら」
紗季、質問に答えず電話の相手と話す。
紗季「いや、往診に来てくださいって言うて
ませんやん。子猫弱ってるし」
すみれ、驚く。
紗季「……あんた!それでも医者か!娘が命
懸けで守った命、見殺しにしろ言うてはる
ん!」
すみれ、笑顔になる。
紗季「……(弾んだ声で)そうですか。すい
ませんね、無理言うて。すぐ行きますわ」
すみれ「お母さん、ありがとう」
紗季「ほんまに、あんたには負けるわ」
と、すみれを連れてタクシー乗り場に向
かう。
夕焼けが二人を照らす。

雨宿り

雨宿り

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-22

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