よいもの

ふじひろいち

コンクリートの硬い壁で囲まれた部屋より
何年か経ったら少し剥げ落ちて木の柱と隙間があくような塗壁の部屋がよい

電気で増幅する楽器を使うより
体に直に響く生音がよい

金持ちより
お金はちょっとたらないくらいで頭をつかって生活をくふうするほうがよい

乗り物を使うより
自分の足で歩いて風景を頭にゆっくり刻めるほうがよい

加工されて原型がわからない添加物がいっぱいまざった食べ物より
感謝をこめて食材をそのままいただいくほうがよい

遅寝遅起きより
早寝早起きして天体とシンクロナイズするのがよい

思う存分ご飯を食べるより
体についた脂肪そのものがご飯を欲しがらないくらいの少なめがよい

ずっと椅子にすわって体を膝で90°折ってさらに腰で90°逆方向に折るより
まっすぐ立っているほうがよい

大都会の人が多く住んでいるところでひとりぼっちになるより
ゆっくりとした自然の中でひとりくらすのがよい

一神教は神様おひとりで大変そうだから
いろんななやみにもれなく対応してくれそうな多神教がよい

多くの人と交流をもつより
はなれていても人生を一緒に歩める友をみつけるほうがよい
そうすればこの世でひとり孤独だっておもいませんから

よいもの

よいもの

一回限りのこの世の人生、できるならよいものと出会いたい。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-22

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