もも

私が少女じゃなくなった、と決定的に感じたのは
眠る前に好きな人のことを考えたり、ちょっとした会話を思い出して照れてみたりするベッドの中の幸福感を
もうすっかり忘れてしまっていて、そういえばこんな気持ちに最後になったのがいつなのか、もう思い出せないなあ
とバイト帰りの夜、自転車を漕ぎながらふと思った瞬間だった
鼻の周りに出来たニキビがまだ少女でいることをやめたくはないんだ、とだだをこねていて鏡ごしに見るそれは皮肉めいていて、すごく嘲笑されているような気分になった

じゃあ少女じゃなくなった私は大人になったのか?
そんなつまらないことじゃなくて、私は私になったのだ
その過程でお別れしなくちゃいけないことや手放さなくちゃいけないものはたくさんあった
それはとてもさみしいことだけど、全然怖いことではないのだ
心が鈍くなったんじゃなくて、心の中の優しさの割合がちょっと増えただけだから
それはきっと素敵なことだよ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-21

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