まるいあか
太陽が赤く怒って、夕方がやってきた
綺麗だ、綺麗だね。
桜の花びらも潔く散るようになって、赤に照らされてから「さよなら」って地に還る。
僕の地面も、髪も、公園のベンチだって、ジャングルジムだって
夕陽に染められて赤に燃える
こっちの気持ちなんて露知らず、自然に。
自然に温かく染められていくんだ。
ずるいさそういうの。
昼間はあんなカンカンに燃やすのに
夜が迫ってくるにつれてだんだん温かくするんだもの。
本当は怒っていないんだよね
夜に押しつぶされて地球の反対側に行くのが、怖いんだよね。
あっちの人もそりゃ君がいないと困るけど
淋しいよ、なんかさ。
月は月でまたそれはもう綺麗で
星と一緒に歌っては夢の世界の扉を開けるの。
太陽、君とは正反対だ
月は怒らないね、とても穏やかだ。
きっと、朝におびえて叫ぶ事が出来ないんだろうね
朝は怖いよ、奴は凶暴だから。
だから頼むよ、今日もどうか
僕を真っ赤に照らしておくれ
まるいあか
今日もまた、昇っては沈むのです