まるいあか

太陽が赤く怒って、夕方がやってきた


綺麗だ、綺麗だね。



桜の花びらも潔く散るようになって、赤に照らされてから「さよなら」って地に還る。

僕の地面も、髪も、公園のベンチだって、ジャングルジムだって

夕陽に染められて赤に燃える

こっちの気持ちなんて露知らず、自然に。

自然に温かく染められていくんだ。




ずるいさそういうの。

昼間はあんなカンカンに燃やすのに

夜が迫ってくるにつれてだんだん温かくするんだもの。




本当は怒っていないんだよね

夜に押しつぶされて地球の反対側に行くのが、怖いんだよね。

あっちの人もそりゃ君がいないと困るけど

淋しいよ、なんかさ。




月は月でまたそれはもう綺麗で

星と一緒に歌っては夢の世界の扉を開けるの。


太陽、君とは正反対だ

月は怒らないね、とても穏やかだ。

きっと、朝におびえて叫ぶ事が出来ないんだろうね

朝は怖いよ、奴は凶暴だから。


だから頼むよ、今日もどうか
 


僕を真っ赤に照らしておくれ

まるいあか

今日もまた、昇っては沈むのです

まるいあか

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-18

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