キライだからスキ。①
初作品です
あんたなんか大っ嫌い!
● ̄ ̄ ̄ ̄ ̄12月25日 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄●
夜空に満天に光る星。
聖なる夜、幸せの鐘がなる。
_______綺月side_________
クリスマス……。
私にしてみればただの嫌味の日。
この日はいろんな男女が一緒に過ごして笑い合う日。
ぼっちクリスマス…ね。
ま、今の私はその言葉がぴったり当てはまるわけで。
綺月「朱鳥!」
私は山瀬 朱鳥に電話をかけた。
同じぼっち仲間の親友である。
この聖夜にぼっち仲間と電話する寂しい女、って思うなら思っとけばいい。
私はどう思われようと気にしない。
ぼっちなのは事実なんだから。
朱鳥「もー、またぁ?綺月ぃ。」
綺月「ごめん…寂しくってさ。」
私の名前は鈴宮 綺月。
綺月って珍しい漢字だから、あんまり読み方を正解されたことがない。
ほとんど『きづき』。
そういえばひとつだけ『きらり』なんてのもあったな。
綺月「朱鳥…今年もぼっちだね。来年はいるかな、相手。」
朱鳥「さぁね。寂しいこと言ってる暇があったらまた合コン行けば?」
秀太「大丈夫じゃね?そう焦んなって。俺もまだいねぇし。つーか合コン行ったところで、おめーなんかに興味示す物好きな奴なんてそうそういねぇよ(笑)」
綺月「池原くん!!」
朱鳥「ちょっと池原、さすがに乙女にそれはないんじゃないの。」
池原 秀太くん。
同じクラスのぼっち仲間。
顔と身長はどストライクなのに、性格が悪いから少し苦手。
でもね、私好きな人はいるんだ。
池原くんのお兄さん、
バスケ部部長の池原涼介先輩。
顔も身長も性格も人当たりも良い。
だから、すごくモテる。
私は見つめるだけ。
結ばれることなんてない。
池原くんと仲良し(ではないけどそういうことにしておく)だから何度か話すこともあったりするけど、絶対気になっている素振りは見せないようにしてる。
確かに好きだけど
大好きだけど
だからこそ先輩には幸せになってもらわなくちゃ困る!
朱鳥「あんね、あたし達は池原とは違って気になる人くらいいるの!あんたみたいに野放しにされっぱなしで飼い主探しもしない人とは違うんですー。」
秀太「んなっ…!!俺だって好きな奴くらい!」
朱鳥・綺月「えっ!?いるの!?」
_______朱鳥side________
池原秀太…。
私の気になる人。
好きなのに、なんでこんな言い方しか出来ないの。
朱鳥「野放しにされっぱなしで飼い主探しもしない人とは違うんですー。」
最低だ、あたし…バカみたい。
綺月みたいに素直になりたい。
いや、綺月もそこまで素直っ!てワケじゃないけどさ…
少なくともあたしよりは素直だと思うんだよな…。
友達に、普通に好きな人を教えられる。
その好きな人に、普通に接することが出来る。
紛らわしい態度とか取らないもんな、綺月。
サバサバしてるからなぁこの子は。
その時、池原が気になる発言をした。
秀太「俺だって好きな奴くらい!」
いる…の…?
あたしじゃないことはもう明白で、誰でもわかること。
だとしたら…だれ…?
秀太「………お前らがよく知ってるやつ。」
綺月「あっ!朋恵ちゃん?!あの子おっとりしてるもんね、可愛いよね♡池原くん、あーゆー子がタイプだったんだ♪」
秀太「ばっ、ちっ、ちげーよ!!」
朱鳥「もしかして…綺月…?」
あたしはゆっくり、綺月を指差して聞いてみる。
もしここで頷かれたら…あたしはどーゆー反応を示せばいい…?
秀太「……つかさ、お前ら当てるまで聞くつもりだろ。」
明らかに話を逸らした!!
自分から問を投げつけといて、自己処理しやがった!!
……でもこれで少しわかった。
確信はないけど…池原は綺月が好きなんだ。
綺月「だって気になるんだもん!教えてくれたら私も教えるよーっ♪」
この鈍感綺月っ。
お前だよ、池原が好きな奴っていうのは!!
あたしは綺月の親友だからもちろんよく知ってるし
綺月は自分のことだから一番良く知ってるでしょ!
綺月、友達少ないんだから気付きなさいよぉぉっ。
綺月「朱鳥?どーした?もしかして分かっちゃったとか!?」
秀太「ゲッ)まじ??」
朱鳥「ちがうよ…分かんない。…お手洗い行ってくんね。」
綺月ごめん。
心の中で謝って、あたしはクリスマス風に飾られたホールに入った。
この中ならお手洗いもある…そこにこもろう。
あの二人を二人っきりにするのはいい雰囲気になる気もするけど、好きな人のあたし以外の好きな人の話を聞くくらいなら、いい雰囲気になってもらう方がまだまし。
はぁ…何やってんだろ、あたしは。
あたしなんか…あたしなんか大っ嫌い!!
_______綺月side______
どうしよう…池原くんと二人っきり…。
早く戻って来ないかな、朱鳥…。
秀太「鈴宮はさ、その…好きな奴、いんの?」
綺月「えっ!?あ…うん…まぁ。」
うわぁ…お兄さんが好きです。なんて死んでも言えないよ。
だけどこの流れ的にだと………
秀太「それって、だれ?」
そうなりますよねええええええええ!!!
綺月「んーと…なんて言えばいいのかなぁ。はは…」
秀太「誤魔化さないで教えて?驚いたりしないから。引かないから。」
綺月「え?」
秀太「初めてだけど、ちゃんと返答もするからさ。」
え、待って、池原くん…何か勘違いをしておりませんか??
綺月「どうしたの??」
秀太「鈴宮の好きな人って…俺?」
やっぱりこの人、とんでもない勘違いをしておりましたーーー!!
綺月「えぇーーーっ!?待って、どこからそんな自信出てくるの…」
秀太「え?俺じゃないの?じゃあ誰。」
綺月「……今はまだ言えない。」
秀太「ほらな!この場で告白するのはまだ無理ってことだろ?」
綺月「はぁっ!?…もう、池原くんなんか大っ嫌い!!」
秀太「はぁ!?なにキレてんだよ!こっちこそ、てめーなんか大っ嫌いだ!!」
それぞれの心…戸惑い。
_______朱鳥side_______
朱鳥「そろそろ戻んなきゃだな…。」
??「あれ?あーちゃん!?」
朱鳥「え?……だれ。」
??「うちやんうち!!まさか忘れたん?えーっ、まじかー…」
この関西の方言…もしかして…
朱鳥「みっちゃん!?」
都踊 美知。
幼稚園時代の親友で、あたしが小学校に入学すると共に転校したみっちゃんとは、
しばらく会っていなかった。
大阪出身で、関西の方言が抜けないせいか、みんなから白い目で見られていたこともよくあった。
あたしはその、嫌がらせみたいな真似が理解できなくて、みっちゃんと普通に話したり遊んだりしてた。
その時だけは、あたしのバカさが役に立ったと思うんだよな。
朱鳥「みっちゃん…元気してたっ!?また嫌がらせとかされてない!?」
美知「うん!大丈夫やで!てか逆に、変わった子=特別な子ってイメージになってて、今は人気者みたいやわ(笑)あーちゃんのおかげやな!!ほんま、感謝してるで♡」
朱鳥「あたしは…何もしてないよ。バカだったからみっちゃんがどうして白い目で見られるのか理解出来なかっただけだし(笑)」
美知「バカでありがとう(笑)」
朱鳥「それ褒めてるの??(笑)」
あぁ…久しぶりだな。
みっちゃんとこんなふうに笑い合うの…。
みっちゃんと離れ離れになってから、みっちゃんがずっと心配で、どこかぎこちない笑顔しか作れなかった。
美知「でも不思議やでなぁ。美知さ、結構こっち戻ってきて長いねんで?
けどあんまり会えへんかったのに、クリスマスの日に建物の中で会うって、どんなけ奇跡やねんって話やんなぁ(笑)」
朱鳥「それなぁ(笑)」
美知「えっ、あーちゃん、言葉遣い変わった!?」
朱鳥「合わせてみただけ(笑)てか普通に『それなぁ』とか言うよ?(笑)」
みっちゃん、相変わらずオシャレだし笑顔かわいい…。
モテるんだろうなぁ…きっと。
綺月「あーすーかー!朱鳥ーー!」
朱鳥「は、はづ…きっ!?」
美知「ん?あの子知り合いなん?」
朱鳥「…あー、うん。今の学校での親友。紹介しようか、優しい子だから仲良くなれると思うよ?」
美知「あ、いいわ(笑)こっちに染まりそうやからやめとく(笑)」
朱鳥「あ、でももう来ちゃった………」
綺月「朱鳥、遅かったから…はぁ、はぁ…その子は…知り合い?」
美知「……じゃあまたな、あーちゃん!」
みっちゃんはそう言って、手を振って去っていった。
…もしかして、もう知り合い?
それはないか、知らなさそうだったもんな。
ま、深い理由はなさそうだしいいか。
気にしないでおこう。
この時ちゃんと気にしておけば、後に起こる綺月の悲劇を防げたのかもしれない。
朱鳥「綺月ごめんねー。前の学校の友達に会って、話し込んじゃったわ(笑)」
綺月「いーよっ!さ、戻ろ?」
朱鳥「…ごめん!あたしさ、もう、池原と一緒に居たくない。だから、帰る。」
秀太「あ?誰と居たくねぇって?」
朱鳥「アンタ、いたの!?ちょっと綺月っ!」
綺月「わわわわ私も知らなかった(汗)なんでるのよ、池原くんっ!」
秀太「別にー。山瀬が帰ってくんの遅かったから心配して来てやったんだよ。」
あたしは池原のことをまともに見れなかった。
好きな人に悪口しか言えない自分が憎くて、醜くて、悔しくて。
ただひたすら心の中で謝ることしか出来ない惨めさを、一人で噛みしめる。
綺月「~~~~っ!!なんなのよっ。勘違い野郎っ!」
秀太「………は?」
綺月「もういい!!」
クリスマスの寒い夜、サンタさんはあたしに贈り物をしてくれた。
池原と二人になれる。
綺月には悪いけど、正直言うと綺月がこの場から離れることを願ってた。
神様はそんな私の思いを実らせてくれた。
そしてサンタさんから、池原と話せるチャンスが贈られてきた。
秀太「……俺のこと嫌いなんだよな。」
朱鳥「…な、何言ってんの?」
秀太「…言ってたろ、今。俺と一緒に居たくないって。」
朱鳥「バカバカしくなってきた。」
秀太「は?」
朱鳥「綺月…なんで怒ってたのかなって考えること。てかクリスマスに異性の『友達』と一緒にいるとか、寂しすぎる。」
ちがう。
こんなこと言いたくない!
だけどあたしの口は止まらない。
朱鳥「だいたい池原、綺月がここにいた時といない時で態度が一変するのね。そんなにあたしが嫌い?」
もう自分が憎い。
ムリ、わかって、違うんだよ。
秀太「…そんなこと言う奴だったんだ、お前。そんな奴嫌いだっての。」
どうしてあたしは……こんなことしか言えないの?
キライだからスキ。①
どーでしたか!?
最近スランプで全然書けなかったけど
久しぶりに書きました笑
下手ですみません(^_^;)
次回も読んでくださいね!