春風に押されて 2


入学から2週間、クラスにはなじめた

と思う、わからない


相変わらずボクはあの子が気になる、今日までで知ったことは、
5年生の時に愛媛から引っ越してきたということ、(たしかそのはず)
ボクの後ろに座ってて、偶然にも6年ぶりぐらいに出会った
ハーフの友達と同じ学校から来たこと、
それと、
意外と気さくで明るい性格で、メガネを取ると幼い印象の残る顔をしてることと、
髪の毛は耳の後ろにかけた方が可愛いこと、
すごく抜けてるところがあって天然なこと、
それから数学(まだ算数の範囲だけど)だけ結構得意で、
運動は結構できて、、、

かなりモテること

別にかまわない、はなから自分も許可がもらえるわけがないことはわかってる
告白する気もない、どうせそんなくらい

ただ、妙に心がひかれる、
目が離せない、すぐに頭の中に思い浮かんでしまう
あぁ、今までしてきた形だけの「付き合ってる」は全部偽物だったんだろう
これがホントに好きになるってことなんだろう、
多分まだ誰も知らないんだろう、この気持ちを、
詩人たちが歌ってきた恋とはこれの事なんだろう
みんなは知らないんだろうな、多分、
どうせ、かわいいとおもう=好き
って考えてるんだろう、偽物だ、みんな偽物の恋だ、
自分だけが分かっている、、、


そういえば最近見つけたいいこと
それは、ボクの席から斜め前をみると、
あの子が見える、ちょうどいつもの癖で
髪の毛を耳にかけて、黒板を上目づかいでみながらノートを取る姿が
一番いい角度で見える

やっぱり、好きになられたい

そう思った時に何かが狂った、
「オレ」が爆発した
一瞬ボクは心の中の宇宙、闇に閉じ込められた、
自分の弱さを補うため、いや隠すためだけにいたオレが
ボクをのっとってボクの体を使おうとしだした
偽りのボク、オレが現れた

オレは勝手にあの子の方へ行く
あの子の方へ釣られるように向かっていく
ボクではできなかったことだ、
「だめだ、やめろ、そんなことして嫌われたらどうするんだ」

「大丈夫」

オレはすごかった、何のためらいもなく
あの子に話しかけられた、ふざけて体に触れることも何度もあった
すごい、ほんとにすごい、あの子もボクの好きなマンガを好きなこともわかった
しかも、この学年でそのマンガが好きなのはボクとあの子の二人だけだった
話しかける理由ができた、きっかけができた、
毎日話しかけた、自然に話しかけられた
話しかける時だけオレに頼った
オレが話しかけるとあの子は必ず笑顔で返してきてくれた
でも知らなかった、
オレがボクをどんどん飲み込んでいっていることを

そう、気が付いたの初めての席替えの時だ
勝手に手が上がった、
「オレ班長になりたい!」
勝手にしゃべる、

周りもどうかしてる、ボクで決定した、
ボクは勝手に公約もしゃべってる、

「えっとね、まずはかわいい子を集めたいからアイツと、アイツと、」
誰もが惚れると言われるアイツと、、、、
あの子を勝手に指さした、


あの子はボクの隣になった

こんなことをして好きってバレて嫌われたらどうするんだ

「あとは、、仲いいやつと一緒がいいかな」

きがついたときには遅かった、、、

ボクのからだは気が付くとオレに使われてた

春風に押されて 2

春風に押されて 2

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更新日
登録日
2012-04-18

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