血を求めて

今回も短編を書きました。
奇術道化師JIGSAWの世界を思う存分堪能してください。なんて、ちょっとカッコつけすぎですかね。
とにかく読んでみてください。
それが、僕の世界への入り口です。(もう、分かっている人はいるかもしれませんが、僕は重度の厨二病患者です。自覚はありますが、治療法が分かりません)
さぁ、JIGSAWワールドへようこそ!

「あぁ、私の愛しいミハエルよ。君をこうして外で眺めているのもいいが、私は君の血が欲しいんだ。」
もう夜更け、これ以上は我慢できない。
私の一族は太古より、血液無しでは生きられない身体なのだ。
街を歩く影はなく、家には一家団欒の灯りが燈っている。
外は少し肌寒い。しかし、今夜は君の血液が手に入るだろう。
そのためなら、多少の寒さは我慢できる。
「おやすみ、ミハエル。」
家の中から微かに声がする。
ミハエルの母親が、部屋の電気を消してドアを閉めた。
「ふふふ、これで、ミハエルの血液は私のものだ。」
窓は開いている。
ボロボロの窓だ。
網戸は閉まっているが、そんなことは問題ではない。
今夜私は、自分の食欲の渇望に負け、愛する人の血液を体内に取り込むのだ。
私は颯爽とミハエルの部屋に入った。
慎重かつ、冷静に。
最後の最後で姿を見られるわけにはいかない。
今まで長いこと我慢してきたのに、こんなところで失敗するなんて事態は避けなければ。
スースーと安心しきった寝息が聞こえる。
そして、喉元に近づき、血液を頂こうとした瞬間だった。
ミハエルは起き上がり、私を眺めた。
この状況はかなりマズイ。
そして、彼に背を向け、部屋を出ようとした時、パンッ!という音と共に、私の身体は弾けた。
肉が潰れ、命が消えた。
私はいつも命がけ、私の仲間も、死と向き合いながら生きる術を手に入れている。
当然だ。人の血液を頂くのに、タダでなんて都合よくはいかない。
ミハエルの手にこびりついた私は、パッパッと払われ、床に捨てられた。

血を求めて

どうも奇術道化師JIGSAWです。
また、短編小説を書きました。
いかがでしたでしょうか?
今回の解説としては、作品の冒頭から中盤くらいまでは、語り手が吸血鬼のような雰囲気が醸しだされています。
しかし、最後には語り手は”蚊”だということが分かる内容になっています。
憎たらしい奴のことを小説にしてみたいと、いつも思っていました。
ついに実現し、満足です。
最後になりますが、ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
是非、次回作でお会いしましょう。

血を求めて

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-11

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