ももを撫でる

ももはずっと前からそこにあった


少し前まで若くてかたく、すっぱいように思われたが、


いまは口のなかであまくとけるイメージにみたされた


僕はももを手に取ってながめた


よく見ると黄色くシミができていて、いびつな魅力をはなつ


僕はももを撫でる


キズとシワをくまなくなぞった


桃を覆う産毛も、僕の指先のしわをなぞりかえした


手でつつみこむと、僕はやわらかいベッドにうもれていく


割れ目をなぞるとはずかしくふるえた気がした


シミもシワもいとおしくおもう


食べるのを忘れてずっとさわっていたい


僕はまた、ももをなでる

ももを撫でる

ももを撫でる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-11

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