Fluoxetine

鏡の前に立って、自分の眼を見る、
鏡に映った私は、言葉のナイフで私を傷つける。

黄緑色の薬を飲み干す、

毒々しい色がとっても綺麗で、


何も、何も、変わらない、

ただ、ただ、フラットな感情。


「馬鹿みたいだね」って、

鏡に問うてみる。

「馬鹿みたいだね」って、

答えが返ってくる。


繰り返しの日々の虚像が憎くて、

自分自身にナイフを突き立てた、


「私を殺してよ」「死にたくないよ」

鏡に映ったもう一人の私が叫ぶ、


純白色の薬を飲み干す、

虚しい色がとっても綺麗で、


何も、何も、変わらない、

ただ、ただ、フラットな感情。


「無意味だね」って、

鏡に問うてみる。

「無意味だね」って、

答えが返ってくる。


繰り返しの日々の実像が憎くて、

自分自身にナイフを突き立てた、


「死にたくないよ」「私を殺してよ」

鏡に映ったもう一人の私が叫ぶ、


生きてる事に意味などきっと無くて、

死に行くことに意味などきっと無くて


明日も、明後日も、そのまた次も、そのまた次も、

どうせたぶんまた同じ日々を繰り返すのだろう、


世界を変える事も、自分を変える事も出来ずに、怠惰に、鈍重に、

自分の力じゃどうする事も出来ずにただ時間だけが過ぎていくのだろう。


そうやって私は終わってしまうのだろう。

Fluoxetine

薬に頼ったって何も解決しないし、自分自身と向き合わなければ何も解決しない、
そういう気持ちを少しずつ形にしていったモノです。

Fluoxetine

私は、鏡に映った自分と傷つけあう。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-18

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