OOOOだんご
おじいちゃんの長い説教
五作と五平は、歳をとった五郎じいさんのはなしをきいていた。
「お前らなあ、今の若いもんは恵まれてるんやでえ」
「そうかな?じいちゃん」
「そうや。 今の時代は、よおなったんやでえ。昔は、ほんまにひどかった。わしらのなかまは飢えて次々死んでいったもんや。生まれたての赤ん坊はもっと死んだ。なんせ体が弱いからなあ。」
「そうなんだ」
「命の価値は軽いもんやった。それこそポンポン死んでもおた。殺されて、強い敵にやられたら一発や。もたもたしてたらあかん。わしみたいに、素早くさっと逃げたもんだけが生き残れたんや。 今はそんなことないやろう。 昔はなア、そこらじゅうに死体が転がっとったんやでえ」
「えー?ほんと?怖いね、恐ろしいね」
「そうや、昼間は出歩いたらあかん。敵がおらんのを確認することが大事や。ナンボお腹がへっとったかて、あせったらあかん。じっと機会を待つんや。」
「待つの?」
「そうやで。なんでも用心がかんじんや」
長い、老人の話が終わった。
「じいちゃん、オレお腹すいてきた。」
「じいちゃん、いいにおいがする物をみつけたよ」
「じいちゃん、肉が腐ったようないいにおいだ」
「じいちゃん、いってもいいでしょう?」
老人は、周りを確認してから言った。
「大丈夫だ、行っておいで、子どもたち。」
五作と五平はすばやくにおいのもとまで駆けつけ、団子を見つけて帰ってきた。
「じいちゃんもいっしょにたべよう。これ、すっごくいいにおい!!」
・………
・……
・・・・・…
次の日の朝、台所に3匹のゴキブリの死骸が転がっているのを見つけて、主婦は、「きゃーーーー!!」と悲鳴を上げることもなく、「きったないわねえ」といいながら、素早くそれをゴミ箱に捨てた。
ゴキブリの老馬の智よりも、人間の方がまだまだ強いのだ。
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あとがき。
タイトルのOOOOには、ホウサン、が入ります(ホウ酸団子)
OOOOだんご