惑星ジャナップ2(セイント・クロス団)
小説『惑星ジャナップ1(謎の黒マスク男)』の続きです。
今は、誤字・脱字などを訂正している段階です。
宇宙へ
「なぁ、ディッパー。お前のギャングって、周辺の星にも縄張りがあるんだよな?」
基地のラウンジで、ダニエルは宇宙地図を広げている。
「そうですよぉ〜。それが、どーかしたんですかぁ?」
「王に反旗を翻すなら、お前の周辺の星にいる部下達をまず見方につけないとな。」
「ま〜じっすかぁ?あいつら、僕の言うこと訊かないからそこいら中に飛ばしたんですけどぉ?」
「私が昨日、お前達にやったように力ずくで言う事を聞かせればいい。」
「・・・。わかったよう・・・。」
「でも、何処から攻めるの?」ようやく宙に浮くまでに回復したメイベルがラウンジに来た。
「最初の活動だからな、なるべく遠い星がいい。」
「んじゃぁ、惑星タトロスが一番遠い〜よぉ。」
「よし。そこを始めに、我らの名を広めるぞ。」
惑星タトロスは、荒れ果てた荒野が限りなく広がる星。
そこは、ギャングなどのゴロツキのたまり場となっている。
つまりは、その星に王などが居ないのだ。
「今すぐ、惑星タトロスに行くぞ。」ダニエルは宇宙地図を畳始めた。
「え?今?」メイベルが唐突な、主人の命令にキョトンとした。
「そうだ。ディッパー、タトロスまで行く足はちゃんとあるよな?」
「・・・はぁ、ありますけどもぉ・・・。」
「早く準備するんだ。」
「わっかりましたぁ〜。」
3人は、スラム街のランドマークタワーの地下倉庫にいる。
「これ使うのぉ、何年ぶりかなぁ?」
「何年ぶりでも構わない、メンバーに見つかる前に出発だ。」
「はぁい、はい。」
3人は小型宇宙船に乗った。
「燃料OK。エンジン万全。んじゃぁ、出発するよぅ〜。」
ディッパーが、エンジンを入れると共に、寂れたエンジン音が耳障りだ。
「1・2・3☆発射!!」
3人を乗せた小型宇宙船は、みるみるジャナップ星の大気圏を超えた。
「私、宇宙旅行って生まれて初めて!!」メイベルがはしゃぐ。
「僕は久々だけど、やっぱり宇宙旅行最高!!」ディッパーもはしゃぐ。
「これは、宇宙旅行じゃないんだぞ。」ダニエルは、眉間に皺を寄せた。
惑星タトロス
5時間後、3人は無事に惑星タトロスに着陸した。
「う〜ん。ここも、ひさびさだぁ。」ディパーは伸びをした。
「あっと言う間の5時間だった。」メイベルは魔法で宇宙を再現している。
「お前達、此処へは遊びに来た訳じゃない。」夢見心地な2人に、ダニエルは言葉の冷水をかける。
「いいか、『セイント・クロス団』として、ここのギャングどもを力強くで、私の配下にする事が目的なんだぞ。」
「はぁ。」2人は同時に溜息をついた。
暫く、一面に広がる荒野を歩いていると人影が見えた。
ディパーは、両手で眼鏡を作って「あれ〜?アレはぁ、タトロス星支部の幹部達だぁ。」と、ダニエル達に報告した。
「こうも早く、相手を支配下に置けるとわな。」
遠くにいる相手の波動を感知したメイベルが違和感に気付いた。
「ちょっと待って。あの人達、ドーピング・ドリンクをのんでる!」
それを聞いたダニエルは怒った。「アレは禁止したはずだよぉ⁉︎」
「確かにアレは、銀河法で取り締まりの対象になっているものだ。」
「あいつぅ、アレ飲んでメンバーのみ〜んなに迷惑を掛けたから、此処に飛ばしたのにぃ!」ディパーは両手でナイフを掴み、構えた。「やぁっぱりぃ、あの時に処刑しとけばぁ良かったぁ!」
今にも奴等に飛んで行きそうなディパーを、ダニエルが止めた。
「全員知ってる奴じゃ無いのか?」
「そ〜うだけどぉ?知ってるぅのはぁ、モーヒーくんだけぇ。だーけぇどぉ、他の人もメンバーバッチ付けてぇるぅから、全員処刑するぅ!」
興奮状態のディッパーにダニエルは、注意した。
「全員殺したら、戦力が集められなくなる。リーダーだけを処刑しろ。」
「いーやーだぁ!」
「これは命令だぞ。」
「・・・わかったぁよぅ!」
ディッパーはナイフを仕舞った。
「リーダーは、あの広場で処刑しても構わんが、他の奴等は此処で生け捕りにする。『セイント・クロス団』の戦力としてな。」
「はぁい、はい。」面倒くさそうに主人の命令を聞いた、ディパーが生返事した。
「おいおい、これはこれはボスじゃねーか。」たむろしている奴の中で一番ド派手な格好をした男が、ディパーに話しかけた。
「やぁ、これはぁこれはぁ、タトロス星支部長のモーヒーくん。」
「俺らに何が用かぁ?」
「い〜やぁ、僕はぁモーヒーくんだけに用があるんだぁ。そろそろ、本部のタワーに戻って貰おうかと思ってぇねぇ。」
「本当か?」
「本〜当だぁよぉ。」
モーヒーは喜んだ。「よっしゃぁ!俺も遂に本部の幹部だぁ‼︎」
「んじゃぁ、僕に付いてきてぇ。モーヒーくんにだぁけ、見せたい物がぁ有るからぁ。
ぁ」
ディッパーとモーヒーは、その場から離れた。
残された幹部達が、ドーピング・ドリンクを飲みながら話し始めた。
「オレ、生ボス初めてみたぜ!あんなガキだとは知らなかった!」
「オレもだ。まぁ、俺たち全員この星でモーヒーさんにスカウトされたからな。」
「だけどよモーヒーさん、あのガキを恐がってたよな?」
幹部達は下品な笑い声を上げた。
「何で、あんなガキの何処が巨大ギャング『ディストラクション』のボスなんだ?」
「単なるガキのお遊びが、デカくなっただけじょねーの?」
再び、幹部達は下品な笑い声を上げる。
「何だか、楽しそうね。私も混ぜてよ。」彼等の前に、車椅子の少女がやって来た。
始めは怪訝な顔をしていたが、そのうち少女を下衆いな眼差しで見はじめる男達。
「いいぜお嬢ちゃん。オレ達と楽しいこととをしよう。」
瞬間転送装置
「ダニエル、全員生け捕りにしたわ。」メイベルは、男達を拘束した状態で、魔法で奴等をダニエルの側まで放り投げた。
ダニエルが、男達を見ると全員失神している。
「ご苦労だったメイベル。だが、私をダニエル様と呼べ。」
ダニエルは、1人ずつ丁寧に『ディストラクション』のメンバーバッチを外して、メイベルに燃やして貰った。
「ディッパーの方は、上手くいってるのかな?」
「ボス、これはこの星の瞬間転送装置だぜ?」
2人はタトロス星の瞬間転送装置の前に来ていた。
「そぉだよ〜。」
そう答えて、ディッパーは瞬間転送装置の操作をし始めた。
「何を転送するんだぁ?」
「ちょっとぉ、静かにしてぇ。今、銀河大警察の足が付かないように工作してるんだからぁ。」
「おっと、そりゃすまねーな。」
暫くすると、瞬間転送装置の通信機器が錆び付いた音を立てた。
「も〜し〜もぉ〜し?こちらぁディッパー。繰り返す。こちらディッパー。」
「なんだぁ?その声は、まさかボスか⁉︎お前さん今、何処にいるんだ⁉︎みんな真っ青になって、お前さんを探しているぞ!」
モニターに映し出しされたのは、源ジィだった。
この瞬間転送装置は、本部の基地にある瞬間転送装置と繋がっている。
「ごめんね〜。今、惑星タトロスにいるんだぁ。」
「何でそんな遠くに居るんだ?」
「送りたい物があってねぇ。今から〜送るからぁ、そっちでぇちゃぁ〜んと、ロープで縛ってねぇ?」
ディッパーが装置の前に居て、様子が良くわからないモーヒーが尋ねた。
「おいボス、一体何を送るんだよ?」
彼のわ方に振り向いたディッパーが、真顔で言った。
「そ〜れはねぇ、モーヒーくんだよぉ〜。」
「はぁ⁉︎」
ディッパーは、素早く転送開始ボタンを押すと、一瞬にしてモーヒーを転送ボックスへ放り込んだ。
「てめぇ‼︎オレを嵌めたなぁ‼︎」モーヒーはガムシャラに、転送ボックスから出ようとするが、もす既にとびらがロックされている。
「ん〜じゃ〜、モーヒーく〜ん。君は、引裂きの刑だからねぇ。」
[10、9、8...]瞬間転送装置がカウントダウンを始めた。
「というぅ訳でぇ、源ジィ。み〜んなには、今晩戻るってぇ、伝えてねぇ。」
「わーかったよ、ボス。」
[7、6、5...]
「出せ!ダセェェ!」モーヒーが転送ボックスで暴れる音がする。
「あ、あとぉ、処刑の事も伝えといてねぇ?」
「わーかってる。」
[4、3、2..,]
「んじゃねぇ、モーヒーく〜ん。後で、綺麗に処刑してあげるからぁ。」
[1...]
「ふざけんなっ・・・!」
[0]
転送ボックスが姿を消した。
[転送、完了。]
ディッパーは、瞬間転送装置の電源を切って、ダニエル達の元へ戻っていった。
都市伝説
「ねぇねぇ。知ってる?あの巨大ギャング『ディストラクション』の惑星タトロスのメンバーが全員消えたって話し!」
あさの学校の教室で、女子高生がクラスメイト達に話しかけた。
「何だそれ?」
「また、アンタが好きな都市伝説でしょう。本当に信憑性あんの?」
女子高生は「ある!」と大声で言った。
「何でも、銀河大警察に『セイント・クロス団』と名乗る奴から連絡があったんだって!」
両耳を手で塞ぎながらクラスメイトの一人が、「その、なんちゃら団が銀河大警察に何て言ったの?」
「"我々が、彼等を消した。"って!その証拠に、タトロス星支部長の変死体と、焼けた『ディストラクション』のシルバーのドクロバッチバッチが、大警察署の玄関前にに置かれていたんだって!」
「そんな凄い事件だったら、今頃銀河ニュースで流れてもおかしく無いんじゃないか?」
女子高生は腕組みをしなかがら唸った。
「もしかしたら・・・銀河大警察が揉み消したのかも・・・!」
「何で?」二人のクラスメイトに問い詰められ、彼女は更に唸った。
作戦会議
惑星タトロスで戦力を確保した『セイント・クロス団』は、次の戦力確保の為に作戦会議を、秘密地下基地で開いていた。
「とりあえず、惑星タトロスで生け捕りにした男5人は・・・。メイベル、お前の手下にする。」
「私の?」メイベルは宙に浮きながらダニエルに言った。「手下って、一体どうすればいいの?」
メイベルの質問にディッパーが陽気に答えた。「君の好き様に、使えばいいのさ。例えば、お使いとか。」
ダニエルが冷静にディッパーの答えを捕捉する。「それには、自分の手足となるように、お前がキッチリ強調しなければならないがな。」
「強調?」
「そうだ、言うこと聞かなかったり刃向かったりしたら、厳しい罰を与えるんだ。トラウマになる位にな。」
「わかった。やってみる。」
ダニエルが宇宙地図を机の上に広げた。
「お前達、次の言う事を聞かない『ディストラクション』の縄張りを墜とすぞ。」
「だったらぁ、次はぁ、ここ何かどーおぉ?」ディッパーが宇宙地図を指差す。
「惑星ラドル?幾つものギャングたちが、貴重なこの星の資源を巡って争ってるって、有名な星よね?」
ディッパーは机の上に立って言った。「うん、そぉ〜だよ。あそこにはねぇ、僕ぅの嫌いな組織達とメンバー達が居るんだから〜ねぇ。ど〜れぐらい嫌いかってぇ?その星にいる全員をぉ処刑したぁ〜い程だぉよぅ。ってぇ、言う事でぇ・・・。早速行こ〜うぅ‼︎」
はしゃぎながら、机の上からジャンプしたディッパーをメイベルが咎める。
「それじゃあ、『セイント・クロス団』の戦力を確保できないわ。」
ディッパーは、ムッとして言った。「メイベルったぁらぁ、マスクくんの影響受け過ぎだよぉ?」
「だから、ダニエル様と呼べと言っているだろ。」ダニエルは、宇宙地図を眺めながら言った。「メイベルの言う通りだ。捻くれ者でも、いいから私達『セイント・クロス団』には、とにかく戦力が必要なだ。そして、貴重なその星の資源も確保する。」
「ちぇ〜。」ダニエルは床に寝そべった。
「ディッパー、宇宙船の用意をしとけ。前みたいな、古くて小さいのでは無く、新しくて大きいのだ。」
ダニエルの無茶な要求に、ディッパーは辟易した。
「そ〜んなの〜、持って無いよぅ。」
「明日の昼にはココをたつ。それまでに用意しろ。」
「ええええぇ〜⁉︎無理だよぅ!」
「お前は、巨大ギャング『ディストラクション』のボスだろ。それ位用意して貰わなきゃ困る。」
「はぁ。わ〜かりまーしたよ〜ぅ!」
ディッパーは、思い足取りで基地から出た。
VRA-2000
翌日の昼間。
3人は、工業地帯のとある宇宙船工場に居た。
「ここの〜宇宙船工場ぉ、今日はぁ創業記念日だからぁ、お休みなんだよぉ。」
ディッパーが2人を工場内に案内する。
「ここの防犯設備はどうなってる?」ダニエルが辺りを見渡す。
「それはぁ、昨日の真夜中にぃ警備員全員をタワーに幽閉したんだぁ。そして、コンピュータがぁ、得意なメンバー達にぃ、ここの防犯システムをぉ使えなくして貰った〜。」
「だから人の気配が無いのね。」メイベルが、ディッパーに言う。
「そぅそ〜ぉ。」嬉しいそうにディッパーが微笑む。
「お話はいいから、早く宇宙船まで案内しろ。」
「はぁい、はい。も〜すぐだよぅ。」
工場の中心に位置する、厳重扉の前にやって来た3人。
「つ〜いたよぅ。」ディッパーが、普通に扉を開けた。
「ほぅ。これは凄いな。最新式のVIP様用宇宙船、VRA-2000だ。」
「とても大きいのね。」
感心する2人を見て、ディッパーは物理的にも鼻が高くなった。
「でしょ、でしょ〜ぉ⁉︎人工知能も搭載されているんだよ‼︎」
「ご苦労だったな、ディッパー。期待以上の働きぶりだ。」
主人に褒められて、ディッパーの鼻はますます高くなった。
3人は、宇宙船に入ろうとした時、[どちら様でしょうか?]天井から声がした。
ダニエルは天井に向かって名乗った。「私は『セイント・クロス団』のダニエル。今日から、お前の御主人様だ。」
[すみませんが、ご存じあげません。部外者とみなし、銀河大警察に通報します。]
「ご主人様命令だ。銀河大警察には、通報するな。通報しようとするなら、御前を壊すぞ!」
ダニエルの恐喝に天井の声は怯えた。
[折角昨日、起動したばかりなのに、それは酷いです。]
「なら、VRA。私の『セイント・クロス団の』メンバーになれ!そして、そして、私達を宇宙へ連れていけ!わかったな⁉︎」
[ダニエル様、ディッパー様、メイベル様。改めてまして、私はこの船の人工知能、VRA]と申します。]先ほどとは打って変わり、天井の声が穏やかになった。
ニュース速報
街角の液晶が、ニュース番組を流している。
男性アナウンサーが、番組スタッフに渡された原稿を見て、厳しい表情を浮かべた。
「ここで、速報です。惑星ジャナップの最近宇宙船が、工事から盗まれました。犯人は、『セイント・クロス団』という謎のようです。宇宙の元あった場所に、赤いスプレーで."VRA-2000は、我ら『セイント・クロス団』が頂いた。"と書かれていると、銀河大警察が明らかにしました。」
ニュースを観ていた人々が、騒ついた。
「VRA-2000って、最新の豪華宇宙船のことだよな?」
「出しか、高度な人工知能が搭載されているんだっけ?」
「『セイント・クロス団』って、何者なのかしら?」
「危ない組織だったりして。」
引き続き、男性アナウンサーが、原稿を読み上げる。
「現在、銀河大警察は、この事件を新たなギャングの仕業として調査しています。モーリーさんは、この事件をどの様にお考えですか?」
その質問に、コメンテーターのモーリーが答えた。「強いて言うなら、宇宙船に搭載されている、人工知能を拉致したとも言えるますね。」
それを聞いた人々が驚く。
「人工知能の拉致⁉︎」
「こんなの初めてだわ!」
男性アナウンサーが、更にモーリーに聞いた。
「一体、『セイント・クロス団』とは、どんな組織でしょうか?」
「詳しい事は、まだわかりません。ただ、自らセイント・クロス、つまり聖なる十字架と名乗る程の、彼等独自の正義感が伺えますね。」
男性アナウンサーが、表情を変えた。
「次は、スポーツです。」
マナの惑星ラドル
この銀河で、貴重な資源であるナマ。そんなマナがこの惑星に豊富に有る事が発見されたのが、今から20年前の話しだ。
そのマナを独り占めしようとした奴が、この星の元凶だった。そいつは、ある小さなギャングの下っ端だったが、マナを売ったお金でボスの座に就いた。そのボスのなまはラドル。そう、この惑星の名付け親だ。
ラドルがギャングのボスとなったとたんに、組織の規模が巨大化していった。それに憤慨した他のギャングやマフィア組織が、惑星ラドルに乗り込み、マナの争奪戦が開始された。
まるで一流ホテルのような船内から、VRAのアナウンスが流れた。[皆様、惑星ラドルまであともう間もなくで到着します。]
「さ〜すがぁ、最初の宇宙船内、VRA-2000。つい、一時間前に出発したばかりぃなのに、もう着いちゃうなんてぇ。しかも、自動操縦なんだからぁ。」ディッパーが、オレンジジュースを飲みながら感心した。
「本当ね。この前の宇宙船とは違って、ずっと同じ体勢でいなくていいから、楽だわ。」メイベルが、ふわふなソファーに寝転びながら言った。
[勿体無きお言葉です。]VRAは、恥ずかしそうに言った。
[ご主人様、そろそろ例の物の事をお二人にお話しされてはいかがでしょうか?]VRAは、主人であるダニエルに話し掛けた。
「そうだな。お前達、こっちに来てくれ。見せたい物がある。」
2人は不思議そあなかおをして、ダニエルの元に集まった。
「VRA、例の物を。」
[かしこまりました。ご主人様。]天井からVRAの機械の手が出て来た。
「なぁに?見せたい物って?」ディッパーが、VRAの手の中を覗き込む。「これってぇ、ピアスぅ?」
VRAの手の中で、十字架のピアスが金色に輝く。
「そうだ。コレが『セイント・クロス団』である証しだ。」
VRAは丁寧に、一人一人の左耳にピアスを付けていく。
「これはVRAに作って貰った。因みに通信機が付いている。十字架の中央部にある赤いルビーを押すと通話可能になる仕組みだ。」
「ハイテクなのね。でも、なんか物足りないわ。」メイベルが、首を捻る。
「そうね、強力な回復魔法が発動できるように、呪文をかけるわ。」そう言ってメイベルが、呪文を唱えピアスに魔法を掛けた。
惑星ラドルに静かに宇宙船が着地した。
[皆様、ここが惑星ラドルです。私は、この船に何かあるといけないので、一旦、大気圏の側で待機します。]
「そうしてくれ。何かあったら報告しろ。」
[かしこまりました。ご主人様。]
宇宙船が、天に向かって飛び立った。
それを見送ったダニエルが、二人にトンデモナイ事を伝えた。
「いいか、お前達には話してなかったが、今回の最終目的は、ラドルの組織を我ら『セイント・クロス団』の傘下に置くことだ。」
ディッパーとメイベルは仰天した。
「えぇ⁉︎ここの言う事を聞かない『ディストラクション』のメンバーを戦力にするんじゃなかったのぉ〜?」
「それも目的だ。」
「でも、ラドルの組織って、ここの星で1番強いわよ⁉︎それを傘下に置くなんてダニエル、一体、何を考えてるの?」
「我が『セイント・クロス団』の各自な資金確保と、膨大な戦力。つまり、こな組織を大きくする。」ダニエルが真剣な顔でいった。
誠実な狂犬達
ディッパーは、ラドル星支部長達を探していた。始めに彼等を『セイント・クロス団』の戦力にする為だ。
辺りには、銃弾に当たったであろう死体が転がっている。「人に穴だけ開けて、何がいいんだろ〜ぅ?僕ぅには、サッパリわからな〜い。」
そうやって、ブツブツと弾丸の文句を言いながら歩いていると、背後から肩を叩かれた。
振り向くと、爽やかな笑顔が特徴的な青年が声をかけてきた。
「何か、ブツブツ言ってる奴がいるなと思ったら、ボスじゃないですか⁉︎」
「あ〜ぁ!支部長のガナットくん!探してたぁんだよぉ?」
「オレも、ボスに会えて嬉しいです!何か用ですか?」
ガナットの質問に、ディッパーは首を縦に振った。
「この星のメンバーである、全〜員を連れ来て欲しいんだぁ。」
「わっかりました!ボスの命とあれば喜んで!」
そう言い終わるやいなや、ガナットは物凄い勢いで走っていった。
「僕ぅの事ぉを好いてくれてるけど、やっぱ〜り大ぁぃ切なぁ約束破ったぁからぁ嫌〜い。」
暫くして、この星のメンバー全員がやって来た。人数は13人。全員、第一印象は、爽やかな笑顔の奴らだ。
「やぁ、みんなぁ、久しぶりぃ〜。」とディッパーが言いかけた時。
「ボス!スミマセンでした!」メンバー12人全員が、ディッパーに土下座した。
「タワー近隣のマフィアとの停戦協定を破ってしまって、そのせいでメンバー達に大怪我を負わせて・・・!本当に申し訳無いと思ってます!頭では、分かってたのに、どうしても奴らが許せなかったんです!」全員、涙を流しながらディッパーに訴えた。
「あのマフィア達が、ボスの悪口を笑いながら話してるのを聴いて、それでブチ切れてしまったんです!オレ達の中の狂犬が暴れ出したんです!頭では分かってたのに、止められなかったんです!」
そう言い終わると、全員が覚悟を決めた顔をしてディッパーに宣言した。
「ボスが、オレ達が嫌いなのは重々承知してます!でも、オレ達はボスが好きなんです!だから、オレ達を処刑して下さい!」
ディッパーは何も言わずに、彼等からシルバーのドクロバッチを没収した。そして、新たに金の彼等に十字架のピアスを渡した。
「今から君たちは、『セイント・クロス団』という新しい組織に入ってもらうよぉ。これはぁ、処刑の代わりぃだからねぇ?」
それを聞いたメンバー全員は、明るい顔をして「ボスの命とあれば、喜んでお受けします!」と大声で言った。
「んじゃ、君たちの『セイント・クロス団』の最初の任務を伝えるねぇ?」
「はい!」メンバー全員は、張り切った返事をした。
「これはぁ、今まで禁止してた事だったんだけどぉ・・・。」ディッパーは、間を空けた。
「ラドルの組織以外のぉ、マフィアやぁギャング達を全〜員、皆殺しにして欲しいのぉ。」
それを聞いたメンバー達は、ニヤリと狂犬の様に牙を剥き出しにしながら返事をした。
「わっかりました‼︎」
「あ!そ〜だぁ!君たちのチーム名を考えたんだったぁ!」
「チーム名?」ガナットがひょんな声を出した。
「君たちにピーったぁりなチーム名、それは『チーム・ケルベロス』だぁ〜よぅ!』
ラドル
その頃、ダニエルとメイベルはラドルの組織の本拠地に向かっていた。
道路には、頭頂部だけを嫌いに並べて騒いでいる何処かのギャングなどごいたり、あち、こちらで銃声がなったりしていた。正に、マフィアの星に相応しい光景だ。
その星の中でとりわけ大きい気敷地が、ラドルの組織のアジトである。
「VRA、ラドルはあの敷地内にいるな?」
ダニエルの質問に、この惑星の近くに居るVRAが答えた。
[おります。敷地内の1番高い建物の中です。]
「わかった。メイベル、ラドルの所まで魔法で行けるか?」
「できるわ。」そう言って、メイベルはダニエルに掌を出した。「捕まって。」
大きな革の椅子に座って酒を飲んでいるラドルの目の前に、見知らぬ男女2人が現れた。
「誰だ、お前達は⁉︎どっから入ってきた⁉︎」驚きの台詞を吐くと共に、全身の肥満の肉が揺れる。
「黙れラドル。」黒マスクの男がそう言うやいなや、ラドルは声を出せなくなった。
(⁉︎声が出ねぇ‼︎)
「我々は『セイント・クロス団』だ。」
(『セイント・クロス団』⁉︎確か銀河ニュースでやってた、謎の組織じゃねーか⁉︎)
次の瞬間、左耳に何かが刺さった。
「今からお前達は、この『セイント・クロス団』のメンバーだ。」
(…ふざけんじゃねぇ!)ラドルは、銃を取り出した。
「反抗しようとしたって、無駄よ。そのピアスには、私達に逆らおうとすれば全身に電気ショックが流れる、協力な魔法が掛けてあるんだから。」もう1人の少女が、ラドルに鏡を見せる。そこには、金色に光る十字架のピアスをした自分自身が写っていた。
(な・・・⁉︎)
「後で、同じ物を部下にも付けて貰う。これは、我々『セイント・クロス団』の証なのだからな。」
惑星ジャナップ2(セイント・クロス団)
最初までご覧頂き、有り難うございました。