TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Final】
パタンと、ドアを閉めてカンカンカンと階段を下りる。そして公園へ猛然とダッシュしようとしたとき。
「おい、待てよ、馬鹿。」
と呼び止められた。
こんな台詞吐く奴は一人しかいない、利川武だ。
利川がたぬき荘の001室前のドアに背をあずけていた。
「なんだよ、いるのかよ。もうすぐあの長身銀縁眼鏡男が来るぞ。」
「分かっている、こっちへ来い」
そう手招きして、俺は利川のところ、001室前に向かう、すると、「こっちへ来い」と言って、おかしな事に利川は俺が来るとたぬき荘の裏側へと進んだ、
「何で、裏側に行くんだよ。」
「お前が自分とあったら困るからだ、それに棚田ともな、」
そう言ったきりしゃべらずただ黙って時間を過ごしていた。俺は当然冬用パジャマだ、当たり前だが寒い。利川は警察の制服のまま。いいなぁ、暖かそうだな、あぁカイロ欲しい。
何分過ぎただろう、まだ45分にならないのか?
「そろそろだな、」
「よし、行くぞ!」
「いや、お前はここに残れ、じゃなきゃまた頭を蹴るぞ。」
「はぁ?」
そう、利川は俺にここに残るように指示して、俺の部屋の方向へ向かう。
本当は利川と行きたかったが、何か、ここで、あいつの蹴りを食らうともう、真理さんに会えない気がして、俺は渋々残る。
利川が俺の視界から消えた、その時
「うわ!何だ!?」
突然周りが真っ白になった、しかし一瞬だけ、すぐに元に戻った。
ただならぬ雰囲気を感じた俺は、001室へ向かった。俺はもの凄い勢いでドアを開けたのでバタンと大きな音がした、すると六畳間で真理さんがうつ伏せに倒れていた。
長身銀縁眼鏡男の姿はない。
「真理さん!」
慌てて駆け寄る俺。
「大丈夫ですか!?」
反応無し、それじゃ困るんだよ!俺は体を揺すったりした、すると、
「うっ、うぅ〜」
まさに絞り出すように声を出した、よかった。
「大丈夫ですか!?真理さん、しっかりしてください!」
「谷山さん?ですか?あぁ〜私どうしてここへ、みそ汁飲んでたんだけどなぁ。」
カクリ、と頭が落ちて、また意識不明になる。
すると、
「これで信じたか?俺の話を。」
見上げると利川が立っていた。一体何をしたんだこいつ?
如何わしい事やってないだろうな、ふざけた事やったらぶっ飛ばしてやる、でもこいつの蹴りには敵わない、一瞬でフェードアウトってところだな。全く、
気絶だなんて、ちょっと前までは絶対に経験しないと思っていたがな。
「お前にはありがとうと言えばいいのか?この馬鹿警官。」
「あぁ、そうさ、感謝しろ、」
「どこまでも、いやな奴だなお前は。」
利川はフッと口元に笑みを浮かべて、
「今この時間に存在していたもう一人のお前は、1月16日に飛ばされ、たった今この時間のお前は、そう、1月16日から帰ってきたお前がこの時代に標準の谷山隆になる。」
ややこしい話だ全く。
「これからお前は大変な目に遭う。お前は深入りを選んだ、そこが運命の分かれ道だったんだ、お前は自分で自分の運命を選択した、これから起こる事に文句は言えない立場だいいか?ただ、お前だけじゃ、この、なんと言うか、事件は解決出来ない。これは立派な犯罪だ、TSR連中がまた来るかもしれない、ややこしい変な事件が起きるかもしれない、ショックなことが起きるかもしれない。どっかの時代へ行くかもしれない。しかしなぁ、俺が言える事は一つ、頑張れだけだ。」
なんだろう?こいつ何言ってんだ?俺はこいつの言っている意味を探ろうとする、何でこんな予告みたいな事言うんだ?俺に未来の出来事を語ってどうしろってんだ?答えを探そうとする。
しかし探すまでもなかった。俺はついに気づいたんだ。
何、簡単な事さ、この答えは。
もしこの考えが事実だったら俺はショックで死んでしまいそうだ。
「なぁ、お前に聞きたい事がある。」
利川は面倒くさそうに、
「何だまだ疑っているのか、お前をジュラ紀にでも飛ばして、恐竜を見せたら信じるのか?俺の話を。」
「いや、信じたさ、俺の頭が狂ってないって方にとりあえず賭ける。それでだ、」
「それで?」
俺はひと呼吸、置いて、ゆっくりと空気を吸い込む。ちゃんと酸素取り込んでいるはずなのに、頭まで酸素が届いていないみたいだ、呼吸が荒い。
しかしこの質問をぶつければ俺はとりあえず落ち着けるだろう。
「お前は利川武って名乗ったよな、」
「あぁ。」
「でもその名前は偽名だ、違うか?」
「あぁ、違わない。」
「お前の本当の名前は谷山隆だ、違うか?」
「あぁ、違わない。」
「お前は俺だったんだな。」
「あぁ、そうだ。」
何て事ない、何でこいつはこれから起こるであろうこと教えてくれたんだ?
答え>自分が困らないように。
利川(俺)はこれから起きる事を知っているんだ、それは俺にとって大変困る事だという事も、だからあらかじめ警鐘を鳴らしたんだ、今ここで、
「てことは、お前は22年後の俺か、おっさんだな、全く。」
「なんだ、おっさんだとは、ひどいな、こっちはこっちで、大変だったんだ、22年前に突然現れた、利川武、そして、あかされた事実、しかし、面白い事に、お前は22年前のあの時の俺と同じ台詞を言ってやがるな、まぁ当たり前か、」
「なぁ、俺は後戻りは出来ないのか、出来ればタイムマシンでどっかの時代に飛ばされるのは遠慮したいが、」
「そりゃ無理だ。」
利川(俺)はっきり断言した。
「引き返せない、もし引き返せるんだったら俺はこんなところにいない。」
何となく遠い目をした利川は、
「そろそろ帰る、」と言い出した、
「いや、まて、お前が今22年後に帰ったら、俺はどうなる、ってかどうすればいい?真理さんはどうなる?」
「そんなもん、普通に暮らしてればいずれ来るべき時が来る。まずは、真理を部屋に運べそんなに重くなかったはずだ、そしてまた2人で平和に暮らせばいい、まずはそれでいい。」
真理って何んで呼び捨てしてんだ?こいつ、ぶっ飛ばすぞ。あ、でもこいつは俺か。自分で自分をぶっ飛ばしちゃいかんな、いや、でもこいつ平気で俺のこと蹴りやがったよな?
「俺が必要なときは、22年後からきてやる、お前からは呼び出せん、こっちからの一方通行だ、文句はいうなよ。後、」
利川は区切り、
「お前の言う通り、真理の料理は上手い、とりあえず、じゃぁな。」
「うっ!」一瞬ピカッと光った、思わず目をつぶる、
そして、開けた時には、利川はいなかった。
やっと手に入れた俺の役割、そしてすべき事、
真理さんを部屋へ運ぶかぁ、スゥースゥー寝息を立てて寝ているこの少女を、どうやって、運ぼうか?
まずはその方法を見つけなくちゃな。
TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Final】