黒猫ちゃん

手の中に飼った黒猫が
シャッシャッと視界を横切るたびに

汚れかしら
錯覚かしら
と不安になる

「今日はなかなかに調子がよろしくない」

そんな日は黒猫にかまいたくなくて
ちょっかい出してくるのが鬱陶しくて
わざと無視してしまう

そうしてしまってから
少し後悔して
黒猫の顔を見るのだけど
不敵な笑みをするばかり

なんの因果か私のところに来た黒猫
でもあと一か月ではいなくなってしまう
期間限定のお付き合いなのだ


なんのことはない
種明かしすれば
小指の爪に黒猫のネイルを
施したところ

黒猫ちゃん

黒猫ちゃん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-11-01

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