TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Part4】
ついに谷山にも変化が起きた、夢と現実の境界線が分からない、しかしそれはあらかじめ計られているものだった、
恐ろしく変な夢を見ていた。いっそ、現実と夢が入れ替わればいい、そこまで思うような夢だった。良い夢だった。どれ、今は何時だ?
俺はそう言って時計を見る、一時五分か、昼か?カーテンを引いていても光がないから夜か?いや、今はいつだ?1月だ、午前中で曇っているだけかもしれない。しかし寒い。めちゃくちゃ寒い。暖房消しているからな。
腹減ったな。何食おうかなぁ。
そうだみそ汁。........夢か。夢でも美味かった。お世辞じゃなくて、本当に美味かった。
あれ、これ、夢の中でも言った台詞だ。夢と現実がごちゃ混ぜになっている。
俺は頭を大きく振った。早く目を覚ませ俺。
むくりと起き上がり、手で目を擦る。今日は何日だ?2月7日、
「いや!違う!、今日は1月16日だ!」
でも何で2月7日だなんて思ったんだ?
答え>不明。
まぁいい、カップ麺でも食うか。俺は起き上がって台所へ向かう。しかし台所にはカップ麺が一つもなかった。
「あれ?おかしいな、さっきまで山のようにあったのに。鼠でも出たか?」
馬鹿なそんなはずはない。でもおかしいな、カップ麺、カップ麺。本格的におかしくなったみたいだ、カップ麺が見つからないのだ。大量に買ってきていたのに。おかしな事はまだある。スーパー大木のレジ袋も見当たらない。流し台の下に全部閉まってくれていたのに。
「あぁ、忘れたのか俺?」
カップ麺がなくなり、レジ袋も見つからない。健忘症にでもなったのか?いや、突然なるような病気じゃないだろ。
コンコン、そう音がした。俺の部屋がノックされている。
何か懐かしいな。この感じ。
懐かしい?まだ夢うつつなのか?懐かしいわけないじゃないか、俺の部屋に訪ねてくる人間なんて、大家さんの高荷さんくらいだ。
このノックの主もどうせ大家さんだろう。はいはい、今行きますよ、お金は無いけどね。
ガチャ、そのような効果音とともにドアを開けた
しかし、そこに立っていたのは、大家さんではなかった。
「夜分遅くすいません。ここに、少女が来ません出したか?」
黒いスーツを来て銀縁の眼鏡。髪は七三に整えられ長身で痩せ形。
今まであった事も無い人だった。で?こいつは今なんて言った?少女?何の事だ、俺は知らんぞ。
「少女ですか?はぁ?そんな人来ませんでしたよ。」
「そうですか。スミマセンでした。失礼します。」
「はぁ、では。」
そう言って俺はドアを閉めた。誰だったんだろう?思い当たる節は無い。分かったのは今は夜ってことだけだ。ドアの外は真っ暗で寒かった。
今は1月16日の夜だ。
「忘れる訳が無い」俺はそう思った、え、いつそう思った?誰がそう思わせたんだ?
〜少女が来ませんでしたか〜
〜そんな人来てませんでしたよ〜
〜忘れちゃったんですか?〜
「俺はしあわ、」
そこまで言いかけて俺はセンベイ布団に戻り横になる、どうもこういうのは俺の性分に合わないようだ。考えても考えても気持ち悪く、後味が悪くなるだけだ、あの小説読んでいた時みたいに、はがゆくてしょうがない。
あの小説?どの小説だ?
俺はまたしても起き上がる、本とゴミが散乱するこの六畳間、適当に書架に並んでいる本、たまっているゴミ袋。その中から見つけた一冊の本。
著:高見信明
題「リスペクト」
俺はその本のページを繰る、そして目に飛び込んでくる文字。「真理」。
俺はそこまで確認してから少し頭を整理する。
え〜とっだ、何だ、俺は何をしたいんだ?まずそれを考えろ。真理って名前は聞き覚えあるが、多分この本を読んだからだろう。実際そのような名前の人と俺は会った時なんてあるのか?小学校時代の同級生の名前なんてもう半分以上憶えていないぞ。
なら中学時代だ、いや思い当たらない、次だ、高校時代、いや思い当たらない、
なら大学時代は........在ったらよかったな、この時代。悲しいよ。
まぁ、そんな悲しみは一旦置いて、この考え方はめちゃくちゃ短絡過ぎる。もっと別の探し方が在るはずだ。真理、真理、真理、
俺はそのままずっと考えていた、しかし結局この名前に思い当たる節なんて無かった。
TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Part4】