TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Part2】
明かされた謎の美少女のの真実、それに戸惑いながらも谷山は同居を決意する、これから非現実的な運命が待っている事も知らずに、
俺は昨日(厳密に言えば今日の午前一時二十分頃)から全く変わらない格好で目が覚めた。
抱えていた少女はいない。
夢だったのかなぁ?いや、めちゃくちゃリアルな夢だった。いっそ覚めなくてもよかったくらいだ。しかし寒いな、外は晴れているみたいだけど。開いているカーテンから日差しが射し込んできている。まぶしくてまた目を閉じる。どうやらこの日差しのせいで俺はあの夢から目覚めたようだ。
高井麻巳子ちゃんに似ている美少女はもういない。俺の脳が作り出した幻かぁ。
「まてよ?」
カーテンが開いている?カーテンは閉めていたはずだ。なのに開いている。
どういう事だ?
俺はがばっと起きて時計を見る。長い針は2短い針は1を指している。午後一時五分か。12時間くらい寝てたのか。
部屋を昨日彼女が見回したように俺もぐるっと見てみるすると、
俺がいつも本を読んでいるちゃぶ台の上に何やら紙が置いてあった。
その紙には何やら書いてあった。
『泊まらせてありがとうございました。買い出しにいってきます。』
「はぁ?」
おそらくこの置き手紙を書いたのは昨日の彼女だろう。でなんだ?買い出しだぁ?そういえば昨日お金なら持ってるって言っていたな。面倒を起こさなければいいが、
でも俺は嬉しかった。昨日の少女が幻ではなく本当に存在しているという事がだ。あんな可愛い子見た事が無い。買い出しってことは何だろう?料理かなぁ?手作り料理。食べてみたいなぁ。いや、まてよ、既製品かもしれないぞ。
「ウフフ」
思わず笑ってしまう。だって高井麻巳子ちゃんのそっくりさんの料理だ。美味しいに決まっている。
「早く帰ってきてくれないかな〜。」
そう、部屋の中でスキップしていた。
コンコン、そう音がした。多分、いや、絶対俺の部屋をノックしている音だ。
俺はダッシュして六畳間をかける。ダンっと大きな音がしたがそんなのは気にしないし、このぼろアパートが壊れようが壊れまいが関係無い。帰ってきたんだ彼女が、帰ってきた。
ガチャ、こんな感じの効果音とともにドアを開けた。
「あんまり騒ぐとアパート壊れますよ、このアパートの収入は結構大きいんだから。」
「何だ高荷さんか。」
高荷。このオンボロアパート、たぬき荘の大家さんだ。
「何だとは何だ、それが大家さんに向かって言う言葉か、滞納の家賃はいつ払ってくれるんだ。」
全く、よく飽きずに来るもんだな。さてなんて言い訳しようか。
「いや、あのその、えーと。」
言葉が出てこない、俺の頭の中の辞書の『家賃滞納の時のいい訳台詞』の項目はもう使い果たした。
「まぁいいわ、とりあえず、今日は千円で勘弁し上げる。」
「え?」
おや、どういう風の吹き回しだ?大家さんが千円で勘弁してくれるなんて、いつも一万円なのに。
「おや、ちょっと不思議な顔しているね、フフ、実はここの土地を売ろうかなと思っているんだよ。」
「はい!?」
おいおい、何だの急展開は?ここの土地売るだと?じゃぁたぬき荘はどうなるんだよ。俺の家はどうなるんだ?強制的に立ち退きのなるのか?
「まぁそういうとこだから、まだまだ本決まりじゃないけど、覚悟はしときな、でほら、千円、よこしな。」
昨日の少女といいこの急展開といい、誰かが裏で操っているのか?俺の運命を。
「分かりました払いますよ。」
俺が財布をとりに玄関を離れ六畳間へ戻った時、
「まって来ださい!」と誰かが叫んだ。俺は玄関を振り向く。すると大家さんの顔が部屋の中から外の方に向いていた。そして俺の方の向いて「誰だいあの子は?」と聞いてきた。俺も一体誰だか一瞬迷ったが、あの声、最近聞いた事のある声だな。うん?
「高井麻巳子ちゃん?」
俺はまたダッシュして玄関へ向かった
外へ出ると、とても寒かった。俺の目の前には、昨日と同じ、高校の制服を着てスーパー大木のレジ袋を両手に持った、
昨日の少女がいた。
タッタッタと大家さんの方に駆け寄り、とんでもないことを言った。
「私が払います、いくらですか?」
「えぇ?」大家さんは驚いたようにゆっくりと俺の方に向いた。俺はブルブルと首を振った。いいえ、昨日泊めただけで何もしてませんよ、本当です。信じてください。
暫しためらいの表情をした大家さんだったが、「分かった、合計で、」そういって彼女に金額を告げた。大家さんは金の亡者だ。取れるなら誰からでも取る。
彼女は財布らしきものを制服のポケットから取り出して、結構な金額を大家さんに渡した。うわ、罪悪感ひしひし。
「それじゃ、お金もらったから私は帰るよ、それじゃ2人でごゆっくり、」
そう言って大家さんは帰っていった。帰っていったっていうか大家さんの家はたぬき荘の二階だ。
カンカンと大家さんが階段を上る音が聞こえる。俺は少女に駆け寄る。
「あの、す、すいません、今からお金工面して渡すんで部屋でまっていてください、外よりは暖かいはずです。」
「あぁ、大丈夫ですよ。このくらいの出費ははまだ想定の範囲内ですよ。それよりお腹すいていませんか?一緒に食べませんか?」
そう言って彼女はレジ袋を見る。
俺の答え>Yes!
彼女の料理は何だろう?やっぱ寒いからカレー?シチュー?ウフフ楽しみだ。
ズルズルズル、そういった効果音とともに俺は食べ物をすすっている。
「安いし、美味しいし、手軽で簡単、三分で出来てこのクオリティー、最高ですよ。」
「あぁ、そうだね、」
彼女の料理はいたってシンプル。必要なのはお湯だけ。日清カップヌードル。
スーパー大木で彼女が買ってきたものは、カップ麺十数個、缶のサイダー十数缶。それだけ。これだけで、レジ袋二袋一杯の買い物って、一体、
「美味しいでね、やっぱり冬はラーメンですよ。うん。」
彼女は美味しそうに食べながら今スープをちびちび飲んでいる。幸せそうな顔をして。俺も、麺は食べ終えてスープを飲んでいる。確かに彼女のいう通り冬はラーメンって考えも悪くない。カップ麺もなかなか悪くない。今度買ってみようかな?
「はぁ、美味しかった。」
そういって彼女は空のカップを持って立ち上がり台所に置きにいった。
彼女が戻ってくる前に俺も食べ終えた。小食の俺にはちょうどいい量かも。
彼女と入れ替わりに俺も立ち上がり空のカップを台所に置き六畳間へ戻る。彼女は正座して背筋を伸ばして座っている。思わず俺も正座で座る、ちなみに、座布団は一つしか無く今は彼女が座布団に座っている。来客なんてほとんどいないからな。でも畳の上でじかの正座はちときつい。
「あの、」
彼女はしどろもどろしながら話しだす。
「いいよ、別に、君がここに来た理由は無理に話さなくても、それより君のご両親も心配しているだろうし、電話ならかすよ、いつまでもこんな汚いところに君のような高校生を泊められない。」
「................でも。」
彼女は絞り出すように声を出し、
「でも、私に両親なんていません。」
まずい事聞いてしまった。複雑環境の中で育ったのかこの子は。
「すいません、そういったつもりで聞いた訳では、」
「いや、いるんですよ、実は、でも今私が会っても意味が無いんです。出来ればそのような事態は避けたいんですよ。」
「????」
意味が分からない。どういう事だ?この子の両親はいる、でも今は会っても意味が無い。しかも出来れば会いたくない。そういうことか?
「君は何で俺の部屋に来たんだい?」
「............いわなければいけません、分かっています。でも。」
まどろっこしいな、はっきり言えばいいのに、でも、この子もこの子なりに色々大変なのかもしれない。何人も友人宅を訪ね、最後にようやく見つかった宿、それが俺の部屋のかもしれない。俺も誰かに必要とされたいか否かと聞かれれば、どっちかと言えば必要とされたい。
よってこの少女を守る。フッ、ゲームキャラになったみたいだな、でもたまにはそういった心境に行き着いてもいいんじゃないか?現実の事ばっか考えていると疲れてくるのは誰だって一緒だ、たまには変な妄想して、ドラマの主人公、ゲームキャラになりきってもバチは当たらんだろう。
「俺が質問するよ、その方が答えやすいだろ。まず一つ目。」
そういって俺は質問する。
「電話探し?」
「いいえ、違います。」
「家出かい?」
「いいえ、違います。」
「謎の組織に追われているとか?」
「はい、そうです。」
何だそういう事か、だったらさっさと言えばいいのに。こんなに可愛い子が俺の家に来る理由なんて、俺はめちゃくちゃ気になっていたところだよ。恥ずかしがらずに言えばいいのに。
ん?はい?ちょっとまて、俺今なんて質問したんだ?思い出してみろ。
今俺は謎の組織に追われているのか?と聞いたんだ。
彼女はまっすぐ俺を見つめている。「ごめんなさい、全て話します。」そう言った。
「ちょっとまってくれ、」
俺は慌てて手を挙げる。
「冗談だよね?冗談、俺もこの質問は冗談なんだよ。」
「冗談ではありませんよ、正真正銘、本当です。」
おいおい、ストップストップ。はぁ?嘘だろ?謎の組織に追われているだと?
「まず私の名前を言います、私は山本真理です。真実の真に理科の理です。聞き覚えありませんか?」
山本真理、聞き覚えあるかって?う〜ん
真理、真理、真理、
俺は少し悩んだ後、ハァ!っと気がついた。昨日、
(厳密に言えば今日の午前一時五分頃)に読んでいた本に出て来た登場人物だ。俺は昨日投げ出した本を手にとる。タイトル「RESPECT」。俺はページを繰る。そこには時沢真理と間違いなく書いてあった。真理。
「私の両親がこの本の作者、高見信明の大ファンでいっぱい本を持っているんですよ。でもあなたの方がいっぱい持ってますよ。私の名前は大ヒットした「リスペクト」のヒロインから名前をとったんです。」
大ヒット?どういう事だ?
「大ヒットって、この作品は三日前に発売されたばかりだよ。それに高見信明は無名だし、君は何か勘違いしているんじゃない?」
「いいえ、私は本当のことを言っているんですよ、でもあなたの言っている事も本当です。確かにまだ高見信明は無名です、西暦1988年1月16日土曜日の日本を現在とするなら。」
「当たり前だよ、今日は1988年1月16日。」
彼女はくこくこと頷きながら、
「そうです、今日は1988年1月16日です。でも私は今ここにいません。いえ、確かにいます。ここに、だってあなたの目の前にいますから、でも、違うんです、その別の意味で、私はまだ生まれていないんです。」
ますます分からない。どういう意味だ?この子は一体何を言っているんだ。生まれていないって、じゃぁ俺の目の前にいるこの子は誰なんだ?生まれているから俺の目の前にいるんじゃないのか?違うのか?
「ごめん、君の言っている事は意味分かんないよ、生まれているからここにいるんじゃないのかい?」
彼女は何か考える表情を作り、う〜んと悩んでいるようだ。なにやら、俺に説明する為の言葉を選び、文章を組み立ててくれるみたいだ。彼女に考えさせてしまってなぜか申しわけなく思ってします。
だって愛しの高井麻巳子ちゃんにそっくりだから。
彼女は難しい表情のままで口を開いた。
「信じるか信じないかはあなた次第ですが、本当の事です。私は西暦2008年、11月10日から来ました。」
意味が分からない、笑えない、これは冗談と受け取っていいのか?しかし当の本人はもの凄く真剣な顔をしている。笑ったら失礼って気がした、よって笑えない。うん。
俺はどんな顔していたのだろう?鏡が無いから分からないが、きっとポカーンとしているのだろう。初めて会った時の彼女の表情みたいに。
「ごめん、信じられない。」
こういう時は素直に答えるのがいい、遠回しに答えたり適当に答えたりするとかえって面倒な事になる。本当の事を言えばいい。大体一体のんな台詞を誰が信じるんだ?俺信じまーす!って奴がいたらそいつの顔を見てみたいね。
しかし、彼女は特に表情を崩さず悲しそうな顔もせずに、なぜか微笑んだ。
「ですよね、当たり前ですよね。こんな話信じる訳無いですよね。それじゃあなたが聞いてきた謎の組織、TSR(ティ、エス、アール)の人たちに追われているってことも信じないんですか?これも本当ですよ。」
「TSR?」
「はい、タイム、ストップ、リストラクチュアリング。の略です。」
「????」
ますます分からない。株の本の方が分かりやすく感じてきたぞ。
「説明します。」
彼女は語りだした。
「私は理系の女子高校生でした。科学と物理が大好きでした。私には夢があったんです。それはタイムマシンを作る事です。」
どんな夢を持とうがそれは人の自由だが、突拍子なさ過ぎるだろ。
「しかし、2008年現在の科学技術をもってしてもタイムマシンなど夢のまた夢。実現不可能です。しかし、ある日、正確に言うと2008年9月10日私は作っちゃったのです。」
「何を?」
「タイムマシンをです。」
あっけらかんと言う彼女に俺は絶句しか出来なかった。なんて声をかければいいんだ?誰か教えろ!目の前の少女は2008年から来たと言う、どうやって来たのかは、自分でタイムマシンを作って来たと言う。
目的は?
答え>不明。
部屋の中に変な空気が漂う。う〜ん次に俺がとらなければならない行動は何だ?何、悩む事は無い、分からない事があったら質問するまでだ。
「その、何だ、え〜と、タイムマシンってどんなやつ?君の机の引き出しにあるのかい?」
「いいえ、違います。」
「じゃぁ、ラベンダーの香りがするやつだ。」
「いいえ、違います。」
「じゃぁ、え〜と。」
「これが、それです。」
彼女は制服の内ポケットから何やら棒状のものを取り出した。ぱっと見てそれは黒いボールペンの様だった。
「見ますか?」そう言って彼女は俺にその、タイムマシン(それ)を渡した。右手に握ってみたが、重さも見た目もボールペンそっくりだ、っていうかただ単に何も言われず渡されたらボールペンと思ってしまう。
上の方にクリックするところがある、クリックしてもいいのか?彼女は何も言わない。親指で押そうとすると、
「あ、すいません見るだけにしもらえませんか。」
そう言ってきた。先に言って欲しいなそういう事は、結構大事な項目じゃないのか?この子ってもしかして、大ボケ?高井麻巳子ちゃんにますます似ているじゃないか。
このタイムマシンをよく見てみる。何か小さなダイヤルがあるな。数字が四列並んでいる。
小さいからよく見ないとわからない。
「0116?」
口に出して読んでみる。もちろん何もしないさ。勝手に変えたりしない。
「あぁ、そこのダイヤルで、西暦と年月日を指定して上のボタンをクリックすると即ち決定ってことになって、指定した時代へ行けるんです。」
「へぇ〜、よく出来てるね。」
ってことは、0116ってのは、1月16日ってことか?
俺は「それ」を彼女へ返し、考える。
でもなぁ、そこの君、君だよ君。こんな話いきなり聞いて信じられますか?
信じられるんだったら、俺とポジションチェンジしてくれないか?俺はもう耐えられない。この子を早く親元へ送り届けたくてしょうがない。アパートを追い出される時の為にとっておいた新幹線代を使ってもだ。九州とか四国とか北海道とか、どっかの孤島とか沖縄だった困るけど、本州なら責任を持って送り届けるさ。約束する。絶対。
だから、早くこの子の家の住所を聞かなくては。
「君はどこに住んでいるんだい?出来れば本州がいいんだが。あっ!それはこっちの話で、忘れてくれ、その、俺が君を家まで送るよ。」
彼女は少し悲し表情をした。うわ〜、すいません、泣かないで、こんな可愛い子を泣かせたら、俺は再起不能に陥ってしまう。もちろん泣かせる奴が居たら、そいつは問答無用でぶん殴ってやる。
「私がいると迷惑ですか?」
「い、いえ、迷惑だなんて、滅相も無い!ただここにいるより、やっぱりご両親のところへ帰るのが一番の先決だと。そう思っただけで、」
「家賃払ったのは誰ですか?」
「うっ!そ、それは.......」
それは禁句だろ!大体俺は頼んだわけじゃないぞ!でもそんな事絶対に口に出せない!俺の良心がとがめる。果たして俺の通帳に三ヶ月分の家賃があるかどうか、怪しいな。多分あったと思うんだよなぁ〜。それ払えばいいのか?しかし後先考えずそんな大金払って困るのは誰だ?はい、俺です!
「ご不満なら、お金払いますよ!なので、ここに居させてくださいよ!お願いしますよ!家の事なら何でもするんで!お願いしますよ!」
「いや、そう言う問題じゃなくて、その、何だ?え〜と、その、あの、そ、そうだ学校はどうするんだい?いつまでもいかにわけには、うん?」
「うっ、うっ、うぅ〜、」
彼女は下を向いて泣いていた。
何だ、泣いているのか?いや、泣かなくても、そんなのってずるいよ!女の涙には男はいつの時代も敵わない。そりゃ定説だろ!
俺は心に決めた。彼女の事を責任もって守ると。
でもなぁ、その前に、一つしなきゃならない事があるだろ?違うか?俺?
パシン!!
「エッ!」
彼女はビクッとその音に驚いたように顔を上げる。
俺は自分の右手で右頬を思いっきり平手打ちした。
言ったはずだ、俺はこの子を泣かせる奴がいたら問答無用でぶん殴るとな。それが自分自身であろうが関係ない。
ふざけんじゃねぇ!俺は自分でこの子を傷つけないって心に決めていたはずだろ?違うか?おい?
「違わないだろ、当たり前だ。」
「え、どうしたんですか?」
ぽかんと見つめるこの少女の純朴な瞳を潤ませたのは誰だ?
答え>「俺だ!!」
馬鹿野郎に程がある。この少女は何も悪くない、だったら何で泣かなきゃならなかった。
答え>「俺がふざけて遠回りな答えばっか選んだからだ!」
俺はただ面倒くさがっていただけなんだ。
この少女を守る。そんな大義名分を俺は掲げていたはずだろ?
「とんだ大義名分だったぜ。」
「はい?」
俺は拳を握りしめる。俺は何も悪い事をしていないこの少女を泣かせた!自分で分かってんだったら、おのずと次にしなけりゃならない事があるだろ!!
さっさと謝れ俺!心を込めて反省しろ俺!
「ごめんな、」
「えっ、一体どうしたんですか?私なら別に、、、迷惑なら出て行きます。」
「そうなんじゃないんだ、真理さん!」
俺は初めて彼女を名前で呼んだ。彼女の頬が赤くなったがそんな事は今どうでもいい。その意味は考えたかったら、後で考えろ!俺!
「ここにいてもいいのかぁ、なんて聞くなよ。君は、真理さんはここに居てもいいんだよ。ここは汚くて、狭くて、何も無い部屋だけど、君が居たかったらここに居てもいいんだよ。ここに居て悪いって言う奴がいたら俺が文句言ってやるよ。絶対に真理さんを守ってやる。だから泣くなよ。」
また遠回しになってる。恥ずかしがらずにきっぱり言え!俺!
「ごめんな。真理さんは、頼れる人、俺しかいないんだよな、だから家賃払ってまで、カップ麺買ってきてまで、お金を払いますっていうくらい、ここに居させてくださいって言うんだよな、涙流してまで。本当にごめんな、真理さんが落ち着くまでここに居てもいいよ。安全は俺が保証する。」
ポカンと口を開けて俺の話を聞いていた真理さんは。目をゴシゴシと手で擦り、
「あ、ありがとうございます。」
そう恥ずかしながら言った。そして、
「改めまして、どれくらいか分からないですが、ここに居させてください。」
ぺこりと頭を下げる。
「いいよ。」
俺はそう言った。
TIME LAG I LOVE YOU〜時空を超えた愛〜【第一章〜夜中の邂逅〜Part2】