嫉妬

ああ、なんて醜い感情なんだお前は・・・

人間は嫉妬する生き物である。
僕自身もまた今までの人生で嫉妬という感情を抱いたことが数え切れないほどある。
今回は嫉妬という感情について僕個人の意見を述べようと思う。

まず第一になぜ僕は嫉妬してしまうのだろうか?嫉妬という感情には必ず原因とその感情の矛先となる対象が存在するはずである。
僕の場合、これまでの経験上兄弟、友人、知り合いが嫉妬の対象であった。
例えば、弟。僕がまだ小学生の頃父と弟と僕とでプロ野球のナイターを見に行った。試合開始前、選手が観客に向けてサインボールを投げていた。そして僕らが座っていた座席にも偶然サインボールが飛んできた。僕が手を伸ばした時には、すでに弟がそのサインボールをキャッチしていた。僕は弟に対して猛烈に嫉妬した。僕は目前でサインボールを弟に取られてしまったからである。
また僕が中学二年の時、弟に彼女ができたらしいという噂を耳にした。弟はまだ中学一年だった。その時もまた僕は強く嫉妬した。どうして自分ではなく、弟に彼女ができるのだろうかと。
高校三年生の時にも僕が強く嫉妬した記憶がまだ残っている。僕は当時そこそこ成績が良く、偏差値の高い有名大学を受験した。しかし結果は不合格であった。しかたなく地元の私立大学に進学することになった。僕の親友もまたかなり成績が良く、彼は私が受験した大学よりもさらに偏差値の高い大学を受験していた。僕は受験後、彼に会うまで彼の受験結果を知らなかった。僕は心の中で、彼が不合格であることを願っていた。なぜなのかうまく説明することはできない。しかし親友である彼の合格を心から願うことはなかった。彼は志望校に落ちた。結局彼が進学した大学は僕の進学した大学と同じレベルの偏差値であり、僕らは今でも親友である。しかしもし彼が志望校へ合格し、その偏差値の高い有名大学へ入学していたのなら、僕は彼への嫉妬心から彼と距離を取ったであろう。
こんな経験もした。
僕は最近まで就職活動をしていた。就職活動が解禁された3月のある説明会で僕は高校の同級生と再会した。僕は彼とは友達でもなんでもなく、ただ単に知り合いという程度の間柄であった。ただ偶然に同じ業界の同じ企業を第一志望としているという共通点があっただけである。僕はその企業にあっけなく落ちてしまった。どうせその同級生も目立って優秀ではなかったためすぐに不採用になっていただろうと軽く考えていたが、つい先日彼のSNSを見たら、僕が第一志望としていた企業から彼が内定をもらったということが書かれていた。その事実を知ったとたん、僕は嫉妬心でしばらく何も考えることができなかった。
これまで、僕が抱いてきた嫉妬の原因そして嫉妬の対象について書いてきたが、僕はある結論に達した。
嫉妬の対象となる相手は自分との間に一定の距離感、それもその距離感が近ければ近いほど、また嫉妬を誘発した事柄が自分にとって重要であれば重要であるほど、嫉妬という感情は爆発するのである。
赤の他人、例えば反対のスタンドでサインボールをキャッチした見ず知らずの少年、全く知らない彼女持ちの年下の中学一年生、他校の有名大学進学者、同じ年に採用試験を受けただけの例の企業の内定者
彼らに対しては嫉妬という感情なんてこれっぽちも生まれないのである。

嫉妬

嫉妬

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-30

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