29

はじめて見たあの眩しさの中に
いま君がいる

他力本願で祈り続けた
君への願いは
いま君によって果たされ
光に乗って
世界中に放たれている

たとえば60億光年向こうの
いるかもわからないだれかのところにも
きっと間違いなく届いていて
僕はそれを幸福と呼びたかった

だって、自慢したい
君が戦っていること
笑っていること
歌っていること
その喜びを噛みしめて
そこに立っていること

僕は、自慢したい
顔も知らない
いるかもわからないだれかが
宇宙のその向こうで
君に出会う

あの日絶望の真っ只中で
死ぬか迷っていた僕が
君と出会ったように

立ちすくむだれかがまた君と出会う
そのことを僕は幸福と呼びたい

あの眩しさの中で輝きを増す
君の指も靴もまばたきも



20151003

29

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-30

Copyrighted
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