淋しさ

誰もいない。
さみしいことこの上ない。
いつものことだから、もう。
慣れたさ。

外を歩けば、周りは人だらけだ。
自分は一人だが、
たいていの人間はだれかを連れて歩いている。
若い女や疲れ果てたサラリーマン。
ひどいありさまだ。
いや、
この世界を嘆いているわけではない。
私という存在がひどいありさまだと言っているのである。
偽の笑顔に身を包み、頭の中では何を考えているやら。

人間という生物は恐ろしい。
もしかしたら、私のようなモノがまだほかにもいるかもしれない。
びくびくとおびえながら
そんなことはおくびにもださず
ひそみ、笑っているかもしれないのだから。

近づきたくないのだ。
だからもう、帰りたい。帰りたい。
こんなところにはもう一分一秒もいられない。
泣いてしまいそうだ。

私は一人だ。
守りあえる仲間どころか
存在の認知さえ…。
見てほしくなどない。
忘れてくれ。
そのほうが私、は生きやすいのだから。

淋しさ

淋しさ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-16

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