パーティーの招待状【4】

ハナは恐る恐る階段を下りて行きます。

ワンワンッ!

興奮している様子のミミの声がだんだん大きくなってきました。
一方で、バタバタと駆け回るような音はもうしません。ミミも謎の侵入者も今はその場に留まっているようです。

息を殺して一階に降り立ったハナ。その部屋は、みんなでご飯を食べる部屋です。
そこで、暗がりに向かって吠え続けるミミの後ろ姿を見つけ、ハナはホッと息をつきました。ミミは無事でした。では、侵入者は…?
ハナは部屋を見渡しましたが、もう完全に日が落ちてしまったからでしょう、窓の外は真っ暗です。当然、明かりをつけていない部屋の中も真っ暗で何も見えません。

ワンワンッ、ワオンッ!

その間も、ミミは吠え続けています。するとその方向、ミミが見ている場所あたりから、

がさがさ…ごそごそ…。

かすかに音が聞こえます。
ハナは怖い気持ちを抑え込み、震える指先で階段の近くの壁にあるスイッチを押しました。
パッ、と電灯がつき部屋を明るく照らします。

クウンクウン。

するとミミがハナの近くに寄り添います。大事な友達を守ろうとしているのでしょうか?ハナもまずミミを気遣います。
…大丈夫、どこも怪我は無いようです。
ミミの無事を再確認したハナは恐る恐る部屋を見渡しました。

そしてハナの目に飛び込んできたものは…、
調味料などが倒され、ぐちゃぐちゃになったテーブル、色々な方向に倒れている四脚のイス、部屋の隅に置かれていた古新聞やら広告やらも部屋中に散乱している、散々な有様の部屋でした。
しかしハナの目はある一点からそらされません。ミミが吠えていた方向です。そこには、茶色い木でできた食器棚があります。その食器棚の、一番下の扉が開いています。

「…シッポ?…」

そう、目を丸くしたハナの目線の先、食器棚の開かれた扉の隙間から、白と茶色の縞模様のふさふさとして柔らかそうな、まさに“シッポ”がゆらゆらと揺れていました。

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パーティーの招待状【4】

パーティーの招待状【4】

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-29

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