ハロウィン・パーティー

ハロウィン・パーティー

ゲームチックに仕上げていきます。

場面設定

ハロウィン・パーティー
ある家のホームパーティー
主人公はパーティー嫌い
実際にお化けが出てくる。

【登場人物】
主人公…ゆう(18)【男】受験生
母親
おばあさん
女の子

あの世とこの世のハロウィンパーティー

十月三十日、ハロウィン。
俺はこの行事が一番といっていいくらい、嫌いだ。
なぜか?
それは多分俺の家のちょっと変わったしきたりに理由があるのだと思う。


「ゆうちゃん、仮装の準備はできた?」
夕方6時半。
いつものように勉強して一息ついていた時の事。
母さんの声がドアの向こうからした。
「仮装?なんで。あれ、おれもやるの」
「あら、いやね、Halloween partyは毎年皆でやる決まりでしょー」(ドア越しからわかる声のハイトーン

俺がちょっとでも嫌がるものなら母は笑顔で言い返してくる。
俺も今年はもう18。いい加減、パーティーなんかよりも自分の将来に目を向けたかった。

「どうしても参加しなきゃいけない?」
「どうしても。なに、あんた、参加できないっていうの?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ…」


強制参加のハロウィン・パーティー。
結局、俺は制服にちょっと牙と血糊をつけてドラキュラ風の仮装で参加することにした。


『お兄ちゃん、こんにちは!トリックorトリート(おもてなしか、いたずらか)』
パーティーが始まってしばらくしたころ。
一人の女の子が俺のところによってきた。
「え」
最初、自分かどうかわからず聞き返す。
こんなパーティーの中で浮いている奴に声をかけるなんて物好きな少女だ。そう思った。
『だから、お兄ちゃんトリックorトリート』
女の子の他に今年は子供たちが何人か来ていてそれぞれ思い思いの仮装をしていた。

「…あの、俺、大したもの持ってないけど」
『うん、いいよ?』

そういって女の子はテーブルにあったマフィンを指さす。
『私、あれがいいな』
そのマフィンは大きめに作られていて少女が食べるには多いのではないかと思った。

「多くない?君には」
俺は思わず少女に問いかける。【マフィンをとってあげながら】
『大丈夫、みんなで分ける』
そういって少女は笑顔で受け取った。

「ありがとう、お兄ちゃん」
その彼女の声はどこか懐かしく、俺の胸を刺激した。

「ちょっと、あんたどうしたの」
母さんが俺に気づいて声をかける。

「え」
「なんで、あんた泣いてるの」
(あれ…。なんで)
俺の目からは不思議と涙がこぼれていた。
少女が走っていったあたりを振り返る。そこにはもう招待された大人たちの姿しかなくて、少女の姿はなかった。
「いま、女の子いなかった?」
「え?いないけど」
母さんも首をかしげる。
…本当に少女はいなかったのか。
「あらあ、ゆうくん、もしかしてあの子に会ったのかしら?」
毎年、家のハロウィン・パーティーに来てくれるおばあさんが一人ニコニコと話しかけてくれた。
「あの子…?」

おばあさんはあの女の子のついて、ゆみちゃんではないかと教えてくれた。
ゆみちゃん。
その少女は、おばあさんのお孫さんらしい。生まれてから、お祭りや祝い事がとても好きな元気な女の子だったという。
「その子、今お元気にしてるの」
母さんは何気なくそう聞いた。
「いいえ」
おばあさんは首を振った。
「あの子は去年亡くなりました…。ハロウィンにパーティーをしてみたい。最期まで彼女はそう言って。だからゆうくんのもとに現れたのかもね」

ありがとう。
さっきの少女とおばあさんはよく似た笑みをこちらに向けてくれた。
(あの子はおばあさん似なんだな)
あの人懐っこい笑顔を見れてよかった。

…あの子、また来るかな。

ハロウィン・パーティーだけは俺も好きになれるような気がした。

ハロウィン・パーティー

ハロウィンまでよろしくお願いします

ハロウィン・パーティー

嫌々参加したハロウィン・パーティー。 そこで出会った不思議な少女。 少女は一体何者なのか。 お化けがイタズラする世界の扉が今開きます!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-27

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