We cannot redo.

We cannot redo.

裸足で砂浜を歩く
貝殻が
砂が
さらさらと指の間をすり抜けていく
思い出も
感情も
全て一緒に海に還して

僕が追い求めていた君の影は
波間にも空にも
もう何処にも見つからなくて
水平線に見えていた夕陽は
僕の気持ちも一緒に連れたまま
とぷんと沈んで帰ってこなくて

僕の手の中にあるのは
期限の切れた割引と
空っぽになった炭酸水

きっともう僕しか持っていなくて

いつかいつかって握りしめて
ぐしゃぐしゃになった心も身体も
頭の中で何度も繰り返したフレーズも
もう僕の中にしか存在しなくて

それならいっそ流してしまおうと

開いた掌から零れ出た欠片を
そっと水面に浮かべれば
きらきら瞬き融けて、消えて

さよなら
さよなら

切れてしまうとわかっていたんだ
途絶えてしまうと知っていたんだ

流れてしまった時間は
もう元には戻らないから

それでも僕は
自分に嘘は吐けなかったんだ

ごめんね

We cannot redo.

僕にとって海はとても大切でとても特別な…

もう、君とは行けないのかな

ありがとうございました。

We cannot redo.

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-26

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