真実の月夜
水面に映る月の光は、人の真実の影を照らし出す。
宴の声は響き渡り、酒は死を隠す霧となる。
満月が雲から顔を出し、牙と爪を研ぎ澄ます。
体毛は逆立ち、戦友の笑い声に引き寄せられる。
強固な扉を破ると、笑顔と音楽が消える。
兵は剣を抜き、市民は叫び狂う。
心臓の鼓動が大きくなる。
鉄の刃の空を切る音と共に。
我は涙した、戦友を喰らう哀しみに。
我は笑った、潤いを与えてくれた人間に。
我は怒った。刃を向けられる恐怖に。
隣で飯を食い、共に歌ったあの夜は、今宵幻となって記憶に変わる。
全てが終わったとき、窓から一滴の光が零れる。
外では黄色い光も、窓を通って紅い光になっている。
そして、満月が厚い雲に覆われ、人に戻りし心には、虚無感だけが残る。
真っ赤に染まった手を見つめ、犯した罪に震え上がる。
内なる自分を押さえ込めると驕っていた。
所詮できもせず、叶わぬ夢だった。
人間のように振舞うことはできた。
しかし、真の人間にはなれなかった。
夜風がこびりついた血を乾かした。
もはや、笑い声も、宴の叫びも聞こえてはこなかった。
地に堕ちる場所を探し、我の行く末を嘆いた。
これが友を喰らった故の報いだ。
地から足が離れ、中を駆け降りたとき、自由と地獄の業火を垣間見た。
許されざる罪を償うとしよう。
真実の月夜
どうも奇術道化師JIGSAWです。
最近、更新のペースが速いですね。
そうです、暇なんです。
さて、今回は小説ではなく、詩です。
先日、人狼ゲームなる漫画を古本屋で見つけました。
通常、内容が面白いとか、なんてグロいものなんだとか、そういった感想をもたれるのではないでしょうか。
いつもは私もそうです。
しかし、この漫画を読んだとき、真っ先に考えたのは「人狼の苦悩」でした。
腹が減ってるときに、目の前にステーキを出されたら我慢できません。
それと同じで、狼状態のときに近くに人間がいたら、我慢できないのだと思うのです。
ただ、人狼というのはここからが不可思議で面白く、彼らは人間の姿に戻ったとき、心も人間に戻るのです。
そして己が狼であった時に犯した罪を振り返り、嘆き悲しむことでしょう。
今回私が書いた詩は、そういったことを想いながら書いたものです。
敢えて、まえがき、概要は書きません。
詩を読んでいただければ、分かるからです。
分からずとも、詩とはそういうものだと認識しています。
かなり偏見的な主観ですが、そんな作者がこの世に1人か2人くらいは、いてもいいのではないでしょうか。
最後になりますが、読んでくれた方ありがとうございます。
これからも少しづつ、いろんな作品を書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。