制服のボタン

今冷静になって考えてみると・・・

気がつけば中学校を卒業してはや8年が経つ。
中学生の頃の僕にとっては当たり前であった当時の習慣や考え、行動は今になって思い出すとばかばかしいものがいくつかある。
例えば、制服のボタン。
中学に入学してすぐに制服のボタンについての噂がクラスメイトから流れてきた。
彼らによれば、第一ボタンを開けていると喧嘩上等。第二ボタンを開けていると彼女募集中。第三ボタンを開けていると給食当番を意味しているらしい。
この噂を聞いた僕は、不良の先輩に絡まれないように常に第一ボタンは閉めていた。
だが今になって思うのだが、例えば喧嘩上等ではないが彼女がほしい場合はどうすればいいのだろう。
第一ボタンは閉めて、第二ボタンのみを開放すればいいのだろうか?不格好ではないか?
喧嘩上等と彼女募集中はわからなくもない。ボタンの開け閉めで喧嘩できるくらいの根性がある、彼女がほしいという感情を示すことができるのだから。
だが、給食当番は制服のボタンの開け閉めで示すほど価値のある情報だろうか?
そもそも僕の中学の給食当番は皆白衣を着て、給食の準備をするという決まりがある。
そう、わざわざボタンを開けなくても白衣さえ着れば、もう給食当番であることは一目瞭然である。
ここまで考えてみると、もしかしたら第三ボタンは給食当番の順番が回ってきた生徒のために考案されたルールなのかもしれないという思いもわずかながら沸いてきた。
A君 朝、浮かない顔で教室に入る。ガラガラ。「おはよー」
B君 「おはよー!なんだよ、元気ないじゃん!」
B君はA君の解放された第三ボタンに気づく。「なんだよ、お前今週から給食当番かよ。ドンマイ!!」
A君 「そうなんだよ、マジだりー」
B君 ・・・

果たしてこんなシチュエーションが僕の中学校で存在したのだろうか?いやないだろう。
そして私が最も気になるのが一体誰が第一ボタンは喧嘩上等、第二ボタンは彼女募集中、第三ボタンは給食当番などという決まりを考案したのだろう?
おそらく我が学年の誰もこの答えを知るものはいないだろう。

制服のボタン

制服のボタン

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-25

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