短編小説を書く前に
「短編小説」というジャンルの小説があります。
「ショートショート」というジャンルの小説があります。
ショートショートと短編の違いとは何か。
はっきりした区分はされていませんが、おそらく「長さ」だけでしょう。
ショートショートより長ければ短編、短編より短ければショートショート。
それ以外のことで分類できたならば、教えていただけるとありがたいです。
実に曖昧な「短編小説」「ショートショート」という二つの世界の境界線。
しかしそのラインは時として、奇妙な壁を作り出します。
もしあなたが、「過去作品をリメイクしたい」とか、「コンテストに応募したいけど文字数が……」などといった理由で「ショートショート」を「短編小説」に、「ショートショート」を「短編小説」にしようとした際、ジャンルという壁に苦しむかもしれません。
「短編小説」を「ショートショート」にするというものは、過酷なダイエットのようなものです。
元々あった表現から余分だと感じたものだけを削ることができたのならば最高なのですが、そうはいかないことがほとんどです。
中には、気に入っていた表現を削ることもあるでしょう。何を削ったらいいのか分からないこともあるでしょう。
そんな時に文字数という壁が、妖怪ヌリカベのように思えてきます。
それに比べれば、「ショートショート」を「短編」にするのは左程難しいことではありません。
「こういうのを付け足したらより良くなるかな」と思う部分や、
「よく見たらここの表現が足りなかった」と思う部分を付け足したりすればいいだけです。
文字を削るときはとても難しく感じますが、文字を付け足すのは意外と楽しくいけるものです。
きっと新しい小説を描くような、そんな素敵な時間になっているうちに、あっさり出来ているかもしれませんよ。
だから、まずは短編小説を書く前にショートショートを書くといいんです。
……っていう風に、本には書いてあったんですがねえ……
それだけ言うと、奴は遠い目をした。
短編小説を書く前に