くせっ子

自分(結希)には秘密があった。
小学5・6年生の夏、この2年で僕は姉と母がいなくなった。
引き取ってくれたのは遠い親戚。
秘密を知っているのはただ一人、自分だけ。
夏が終わり近所の小学校へ転入することになった…

夏休み1

「あぁ、あつい…。」
「おじさんみたいな声だすなよ。」
「うっさいなぁ。」
一個下の小学5年生になった弟は少し生意気になってる。
両親は共働きのためこの夏休みはずっと2人だけで過ごしてきた。
どちらかというとマイペースな2人なので夏休み帳もあと半分は残っている。
夏休み終了間近なのに…
アイス食べたいって思って冷蔵庫に向かって歩いた。

ガラッ

「なにかないかな〜〜♪」
ゲームをしている弟は無言だ。ツッコめよ。と思いながら
アイスを探すとあるのは冷凍食品だけで子供が食べられるようなものはない。
「ショックだなぁ、結希!一緒に買いに行こう‼︎」
「自分で買いに行けよ…、ってかお金持ってないじゃん!」
「お・と・し・だ・ま、お年玉。があるから大丈夫だよ!お姉ちゃん買ったげる〜」
「…ぷっ。バカだなぁ。分かった、行くよ。準備してくるから待ってて。」
結希(弟)は上へ上がっていった。
「何買おうかな。1万円で買うからパルムとかかなぁ。」
結希が降りてきたので2人で家を出た。
弟は少し機嫌がいい。
るんるんで2人歩いていると猫が寝ているのを見つけた。
「あー!猫だ!結希、猫!」
「僕は猫じゃない」
「かっわいいねぇ!真っ白だし!バニラアイスたべたくなっちゃったじゃん!」
「はいはい、猫は置いといてアイス買いに行くよ。」
「あ、そうだった!あの角曲がって横断歩道渡ったらコンビニじゃん!急ごう!」
私は足が遅いから結希にひっぱってもらってるけど。
横断歩道が青になって早歩きで歩いた。そのとき…
「ぷっぷーーー!ぷっぷっぷっぷーーーーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
結希が今にも突っ込んで着そうなトラック側にいたので思わずかばっていた。



少し意識がある中で結希が何か言っている。
「ぉ … ぇ……ちゃ 、バ カ、、」
そんな言葉も次第に遠のいていく。






アイスかえんくてごめんね…

1年後の夏休み。

あの日を境に両親の会話が減った。
僕に対する目も変わった。
両親はもともと姉をすごく可愛がっていた。
それをわかって姉は僕が寂しくないように可愛がってくれた。
あの日僕が止めていれば…。
「アイスなんていらねーよ。」「めんどい〜」
とかなんとかいっとけばよかった。
とうとうお母さんから存在否定された。父さんはかばってくれた。僕の両親は離婚することになった。
7月25日
お父さんは
「お母さんと一緒に離婚届け出しに市役所へ行ってくる」
と悲しそうな顔をして僕を留守番させた。
その日はお姉ちゃんが死んで1年が経つ日だった。
僕はあの日を思い出しアイスをコンビニへ買いにいった。
パルムを2つ。

家に帰ってお姉ちゃんにあげた。
美味しいねって言いながら。
半分くらい食べ終わるくらいに電話が鳴った。
プルルルループルルルルー

「はい、田崎ですけど。
どちら様でしょうか。」
「おっおい、 結希か?父さんだ。落ち着いて聞いてくれ。今お母さんがトラックにはねられた。」
「え?」
「父さんも全く整理できていない、とりあえず川湧病院へきてくれるか?」
「あ…うん。わかった。」ガチャッ
え?わからない。え?今父さんなんていった?
母さんがはねられた?ありえない。しかもこの日になんて…
とりあえず急いで病院へいこう。

病室を聞くと看護士さんは悲しそうな顔で

「203号室ですよ。」
といった。
白衣を着た医者が心臓に補聴器をあて、
「御臨終です…」
父さんは泣き崩れた。

僕はこの2年で2人を見送ることになった。

お葬式がすんで少しした暑い日…
そこからだ。父さんがおかしくなったのは。

父さん

父さんは俺に言った。

「ゆうき、俺は2人を失って完全におかしくなった。
誰のせいでもない。運命だった。これかこの家を支えていこうな。」
俺はこの時この意味は純粋に捉えていた。
しかし違った。「運命」と口にした父さんの目はとても怖かった。
でもこの時は目に止めなかった。
ここで気づいていたら逃げられていたのに…。
夏も終わりに近くなり、少し涼しく、寝やすくなった頃
違和感を感じた。
俺は仰向けで寝られないのでよく横向きで寝る。
後ろから抱きつかれ下半身や胸を触られているのだ。

息ができなかった。
そのとき
「ゆうちゃん……っ、かあさん…っ

くせっ子

くせっ子

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 夏休み1
  2. 1年後の夏休み。
  3. 父さん