くまさんのお人形
くまの人形が大好き。
ママが買ってくれたの。
いつも抱きかかえて持ち歩くわ。
そして眠るときはかならず一緒。
だって、これがないと眠れないの。
おもらしもしなくなったわ。
あたしの宝物。
これさえあればあたしはなにもいらないわ。
本当よ。
絵本も、ブリキのおもちゃも、きれいなドレスも、全部いらない。
くまさんの人形だけでじゅうぶんなの。
だけど友達は誰も信じてくれなかった。
だからあたしはそれを証明するために、ママを殺しちゃった。
ママもお人形になったの。
でもそれが悪いことだって、わかったわ。
ベットの下に隠したの。
すぐにパパにばれたけどね。
そしてパパはあたしを叱った。
「そんなことしたらいけないじゃないか。人を、ママを殺したらだめなんだ。わかったか」
あたしは小さくうなづいた。
パパは続けた。
「それに、これがないとパパ眠れないだから」
そういってパパは真っ赤に染まったママをつれていった。
翌朝、パパはおもらしをしていた。
くまさんのお人形