くまさんのお人形

くまの人形が大好き。

ママが買ってくれたの。

いつも抱きかかえて持ち歩くわ。

そして眠るときはかならず一緒。

だって、これがないと眠れないの。

おもらしもしなくなったわ。

あたしの宝物。



これさえあればあたしはなにもいらないわ。

本当よ。

絵本も、ブリキのおもちゃも、きれいなドレスも、全部いらない。

くまさんの人形だけでじゅうぶんなの。

だけど友達は誰も信じてくれなかった。

だからあたしはそれを証明するために、ママを殺しちゃった。

ママもお人形になったの。



でもそれが悪いことだって、わかったわ。

ベットの下に隠したの。

すぐにパパにばれたけどね。

そしてパパはあたしを叱った。

「そんなことしたらいけないじゃないか。人を、ママを殺したらだめなんだ。わかったか」

あたしは小さくうなづいた。

パパは続けた。

「それに、これがないとパパ眠れないだから」

そういってパパは真っ赤に染まったママをつれていった。


翌朝、パパはおもらしをしていた。

くまさんのお人形

くまさんのお人形

ショートショートです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-04-14

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