私という塔
詩と呼べるのか自信は無いけれども愛情はある。
私という塔
塔は得てして揺らぐもの
風が吹けば揺らぐ。
人が通れば揺らぐ。
鳥が止まれば揺らぐ。
赤ん坊のくしゃみで揺らぐ。
老人の泣き声で揺らぐ。
猫のあくびで揺らぐ。
お陰で大工は休めない。
来る日も来る日も
丈夫な塔へなるやうに
トンテンカンカン
カンテントントン
あなたの好きなぎうにう寒天
かわいい妻が優しく呼んだ
塔は揺らいだ 優しい声に
お陰で大工は振り落とされた
塔は吃驚 余計に揺らいだ
塔は得てして揺らぐもの
塔は得てして揺らぐもの
かわいい妻は優しく歌い
大工のたんこぶ手当する
大工は今日も休めない
塔は怯えた揺らぐ己に
大工は今日も休めない
反故紙
人生の反故紙をきれいに伸ばす生活をしている
ただ、それだけで、私を指す呼び名とは
世捨て人
厭世人
日陰者
どれにも当てはまりどれにも当てはまらない
何食わぬ顔が良く似合うと束の間の良人が言いました。
風邪
風邪を引いて眠る。
起きた時の喉の痛みとさみしさ
晴れ渡った1日が終わり
腫れ渡った喉を押さえる
秋晴れの日に
恋に落ちる
昔、聞きましたね?
「恋は破滅」
あなたはこの言葉に酷く怯えました。
破滅と分かっていながら落ちてゆくのは理解出来ないと
優等生のあなたは布団を被り震えておりましたね。
しかし、今は
こころに溢れるものがある
諦めようとすると絡めとられる
酒を飲んだようになる
身体がふわふわして
溢れてくる
言葉は拙く、あなたの知性は崩れてゆく
溢れてくるこの感情は確かに身を焦がすように熱い
一歩間違えれば破滅へ向かうと知っていながら
最早、優等生ではいられなくなる。
届くな届くなと布団を被ったあなたは
今日も揺れる塔へ願いを込める。
私という塔