届かない想い

リクエスト*無神ルキ

1


無神ルキ。
無神家の中で一番頭が良く、一番、冷たいヴァンパイア。
…そんな風に言われているけれど、私はそうは思わない。だって、私は───


「ゆめ、何をぼうっとしている?」

『…あ、ごめんね、えっと…』

彼の声でハッと我に帰る。そうだ、マナーレッスンの途中だった、と視線をテーブルに戻すが、さっき迄のことはどこか記憶の彼方へ行ってしまった。

「どうした?」

『えぇと…どこまでやったっけ…』

「忘れたのか?」

『ご、ごめんね』

彼の低い声が、さらに低くなり。慌てて謝罪を述べる。
怒らせてしまっただろうか。どうしよう、部屋に戻るだろうか。…しかし、彼は思考に反して席を立つことはなかった。
それどころか、わざわざ席を立ち、背後に回って手が重ねられた。


『っ、』

「どうした?もっと肩の力を抜け。そんなことではまたナイフを落とすぞ」

耳元で低く心地よい声が反響する。
なんだか擽ったくて肩をすくめると、彼は小さく笑った

「初々しい反応をするんだな」

『そ、そんなこと…っ』

「…ゆめ、少し休憩をしよう」

『え、…っきゃ』

ぐいっと手を引かれ立たされたかと思えば、テーブルに押し倒された。
彼の目が薄っすらと、欲望に染まった目をしているのを感じ、体に力が入る

『る、ルキ、くん…あの』

「なんだ」

そう答える声も、よく聞いてみればいつもより余裕がないように聞こえる。
少し考えて、思いだす。

そうだ、今日は満月。彼らを惑わす夜だ。

そんなことをぐるぐると思考している間に、彼の鋭い牙が首筋に当たった

『ん…っ』

「嗚呼、綺麗だな」

『るき、く…』

甘い痛み、血の抜かれる感覚。どれも最初は恐怖でしかなかったが、今では甘美な痛みと愛しさが心を満たす

「甘い…っ、は…」

『っ、あ…ぅ、もっと、いいよ…』

苦しげな彼のその瞳に、思わず頭を撫でる。
私の血で満たされるなら、幾らでも。
そう思い微笑みかけると、彼は一瞬眉根を寄せたがすぐに目を瞑りまた首筋に貪りついた。
じんじんとした痛みに、胸のあたりが疼く。

『ルキくんっ、…ルキくん…』

「ゆめ…」

名前を呼ぶほどに自覚する。
私はやっぱり、彼が好きなんだ。
ヴァンパイアだとか人間だとか、甘い痛みをくれるとか、そんなこと関係なくて。

『わ、私…あなたが、好き…だよ』

たとえ私が、あなたのシナリオの駒の一つだとしても。
たとえこの思いが、叶うことのないものだとしても。
私はずっと、あなたを想い続ける。



fin

届かない想い

届かない想い

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-17

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work