狂い始めた少年たちの時間
そうだよ。
僕らはいつだって前を向いて歩いて来たじゃないか。
どんな嵐にも負けず、正負さえも知らずに、ただ己が信じた道を突き進んで来たじゃないか。
誰からか言われた言葉も無視して、私たちは孤独で寂しい道を進んで来たんだ。
孤独で寂しいけれど、その先にある光は輝かしいものだとずっと信じて・・・。
迷いも、恐怖も何もかもなかった事にして、真っ暗闇の中を進んで来たんだ。
俺たちに怖いものなんてなに一つなかったはずだよ。
言葉でしかないもの、形ある幽霊とか、ただの包丁だって、そんなものじゃ俺たちは動じなかったはずだよ。
自分たちの力を信じて、自分たちの力でそれら全てを打ち破って来たんだよ。
うちらには、嫌というほどの夢があったよね。
叶いそうもないものばかりだけど、そう語り合うだけでまた、叶いそうもないものを夢見たよね。
いつか必ず現実のものとする為に。夢が夢でなくなる瞬間を夢見たよね。
それなのに、・・・いつからだろうか。
歩みを止めたのは・・・。
寂しさに押しつぶされそうになったのは・・・。
恐怖という感情を思い出したのは・・・。
夢は夢でしかないと悟ったのは・・・。
いつだって、僕らの選択は正しい。そう思って前に進んで来たのに。
例え、世の中でおかしいと言われようとも、誰一人助けてくれなくても、
誰かに消されそうになっても、夢の国から追い出されそうになっても、
迷う事なく前を向いていられたのに。
この世界の上で、正しいものは何だ。
人間が作り出した法か、自然の摂理か、過去の偉人達が思いついた科学や数学の定理か・・・。
僕らはそんな決まりごとに縛られてしまったのかもしれない。
魔法は科学。奇跡は偶然。夢は瞼の裏に見える単なる映像。
いつからなのだろう。幻想が幻想でしかなくなったのは・・・。
世界は一つも正しい事なんかない。
正しいのは僕らは意思そのものだ。
狂い始めた少年たちの時間