小さいつぶつぶ

上にはなにもなく
下にはいっぱいのつぶつぶがすきまなく隣り合ってくっつき合って
層を成して重なっている

いくらかの上のつぶつぶは下のつぶつぶとふれるかふれないくらいのどっちつかず
それらはあたりをふわふわただよっている

下のほうでなにかありそうだとおもったら
すぐそちらへ吸い寄せられて
しばらく下の重なりあったつぶつぶとふれあう

そうかとおもうと
浮遊しているつぶつぶに近づいてしばらく時間を過ごし
そのうちいくつかのつぶつぶが寄り添って
空間で球になったり線になったり形をかえ
そこらをさまよい
またしばらくするとバラバラになって
あちこちへ

つぶつぶは他のつぶつぶとふれあい一つになり
一つのつぶつぶはまた新たなつぶつぶを生む

互いのつぶつぶには吸引力があり
おおきな塊ほどその力は重なりあって全体としてつよくなり
遊離しているつぶつぶを引き寄せる

この力は魔法のようで
なぜそれがあるのかはわからないが
ここにずっとありつづけている

つぶつぶがつぶつぶであることの意味は
その力があまねく存在することとおなじ

ひとつひとつのつぶつぶにあって
さらに全体のつぶつぶにもあって
それが重なりあって
このつぶつぶの世界をなりたたせているなにか

確かに存在する
このなにかが
ほんとうのあなたです

小さいつぶつぶ

小さいつぶつぶ

人って小さな存在なので、大きな力にみちびかれる必要がありそうです。 ジョーセフ・キャンベルの神話の本を読んでおもいました。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-10-05

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