遺書
彼女と別れた。
大声出してわんわん泣いた。
隣のババアからうるせえって叫ばれたけど無視してわんわん泣いた。
俺の彼女は美人でもなく附子でもない、言わば普通のごく普通の女だった。
初めて会ったのは大学生の時。
全くタイプじゃないのに話すうちにだんだん彼女に惹かれていった。
食事も何度も誘って、ついに念願の俺の彼女になった。
そらからは夢のように幸せだった。
旅行は何処に行こうか。いっその事飛行機に乗って世界一周をしようか。結婚式はハワイで挙げよう。毎日想像してにやけた。
俺の何がいけなかったのか。
このポジティブでもありネガティブでもある性格が気に入らなかったのか。
正直彼女の事なんてひとつも分かっていなかったどうしようもない自分を攻める。
涙はこの部屋の中を海にするように止まらなかった。
この遺書をここに置いて俺は死のう。
ぐすんぐすんと鼻を鳴らす。
どこで死のうか、死ぬなら彼女の前で死のう。彼女の家で首吊りでもしてやろうか。そうだそうしよう。
絶望的で真っ暗闇に落とされた俺に光がそそぎ始めた。
カーテンが光り輝いている。
下からはババアの元気な挨拶が聞こえた。
時計を見ると 6:37 と示されている。
今日のバイトは朝からだ。
急いで身支度をし朝ごはんなんて食べてる暇もなく涙でかぴかぴの肌を気にもとめず勢いよく部屋を飛び出した。
雲ひとつない空だった。
遺書