世界の心臓
世界の心臓
何事だって僕の事でないものはない。
テーブルの上に置かれた朝食のぶどうパンも、
宇宙ステーションの有人実験施設も、
アラブ世界の民衆革命運動も、
ダンス・ミュージックの最前線でさえも!
どれもが僕の事であって、僕の事ではないのだ。
急行列車に人が身を投げること、
アーケードゲーム機に一枚のコインが落とされること、
それらに違いなどあるというか。
揺りかごの中で眠る赤子がみる夢と、
ひじ掛椅子に深く掛けた老人の回想と、
それらに違いなどあるというのか。
君が、それらについて、僕らのことであると考えず、
世界をあの無責任な二元論で語ろうとでもするならば、
僕は君を軽蔑するだろう。
世界は今も昔も、これからだってひとつで、
それを知って恐れた人びとが、たくさんの言葉で隠したに過ぎず、
実は、たったひとりの人間の想像に過ぎないのだから。
世界の心臓