シャキューさんのついったーまとめ

Twitterに投下した書き物まとめです。
殆ど当時の文章をそのまま載せています。
そのため名前の表記が現在と違ったり(バクやゲンなど)しますが、ご了承ください。

遠くの夢

「…………。」

Genは静かだった。いつもは足りない部分を、持ち前の情熱で無理やり乗り越えて今日まで生きてきた。 そのGenが今は、とても静かだ。なぜなら目の前にソファで居眠りをしているクルスがいるからだ。

「……ぐぅ。……すぽぁ。」

目の前のクルスから、時折寝息らしからぬ音が聞こえるがGenは特に気にしない事にした。 Genはその場にとどまり続けていた。特に何かしら理由がある訳ではない。暇なのだ。いつもは元気一杯なGenだが、常にエネルギッシュに生きている訳ではない。ちゃんと疲れた時は休んでいる。その休んでいる時が今なのだ。 寝ているクルスに毛布をかけ、Genは床に座ってぼんやりと部屋の壁や窓を眺めていた。

「……平和だなぁ。」

ぽつりとGenが呟く。勿論今生きているこのオラクルが平和な訳ではない。仕事を終え、つかの間の休息を噛みしめているこの状態に対し、特に何の考えも無しに飛び出た一言だった。

「…………ぅ……んぐ………。」

不意に後ろから苦しそうな声が聞こえる。誰かが入ってきた訳ではない。今この場にはGenとクルスしかいない。声の主は当然クルスという事になる。

「……………ぶはっ。すーはーすーはー。…………ぐぅ。」

……どうやら呼吸が止まっていたらしい。再び安らかな寝息を立てはじめたクルスを見たGenは、窓の外を眺めた。
窓からは市街地が見える。ビルの隙間を縫うように配置された道路の上を、車がせわしなくあちらへこちらへと走り回っている。

「…………ぅぐっ……うごご……っ」
「………ってまたですか。」

また苦しそうな声をあげたクルスに対し、小声でGenがツッコミをいれる。

「………ぁ………ぁあっ………うぬ…ぐ」
「…………?」

どうせまたすぐに収まるだろうと思っていたGenの中から、時間が経つにつれて呆れた気持ちが薄れ、代わりに焦りの感情が色濃くなっていく。 クルスの呼吸が再開する様子はいまだに無い。

「ちょ……大丈夫なのかコレ…!?  くっ、クルスさん!?クルスさん!!」

襲い来る不安に耐えられなくなったGenが、とっさに動いていた。クルスの肩を軽く揺さぶる。

「…………ふごっ。…ぉぐ……すぅーーーー。はぁーー。」

クルスの呼吸が再開した。
それを見たGenは、安心したのか表情を緩め、

「なんだ、大丈夫じゃないか…」

と声を漏らしていた。 その刹那、Genの顎に衝撃が走る。

「ほぉあっ!?こ、ここはっ!?あれ?マイルームだ。あぁ、よかったー、平和だー!あ、Genさん。どうしたんですか?うずくまって。」
「い、いきなり立ち上がらないで…ください…よ…」

苦しそうな声を漏らすGen。それも無理はない。何故ならいきなり起きて、立ち上がったクルスの頭部を思いっきり顎にぶつけられたのだ。 機械でできたキャストボディは、やはり頑丈で、クルスはへっちゃらといった顔をし、軽く自分のヘッドパーツを撫でている。舌を噛まなくて済んだのは不幸中の幸いだが、今のGenにそんな事を考える余裕は無かった。

「いやー夢でよかったー、あんな地獄みたいな中にいたら生きた心地がしませんね!」
「うぉ……ぉぉおぉ……おぁぁ………。」

目の前で悶絶するGenを気にせず、クルスは言葉を投げる。
あれから10分ほど時間が経ち、Genが立ち直った所で二人が向い合って座る。

「………で、どんな夢を見たんですか。」

少しムスッとした顔をしながら、Genが尋ねた。

「えっとですねぇ、地獄でした!」
「……はぁ。」

いきなり結論だけ言われたGenは呆れた顔でそう答えるしかなかった。その表情を読み取ったクルスは一瞬ではっと気付き、詳細を話す。

「あ、具体的に話すとですね、ダーカーとの闘争が激化して、私達の置かれている状況が一層厳しい物になっている、といった状態の夢でした!」
「………へぇ、それは…あまり想像したくないなぁ。」

正直、Genは今の夢の話を聞いて、少しぞっとした。よほど現実味が無いような飛び抜けた話をされるより、今のような
「近い将来そうなるかもしれない」といった、リアリティのある話をされた方が数倍怖い。

「……でも、近い将来そうなるかもしんないんですし、俺達も頑張らないとですね。」

それでも、そんな恐怖から逃げ出す事はしたくないと思ったから、出た言葉だった。実際に夢を見て、明確なビジョンを見せつけられたクルスは自分よりも怖い思いをしているはずだ。たかが夢といえど、現実から切り離されての疑似体験は下手な芝居よりも感情移入がしやすい事を、Genは知っている。多くの夢は主観が自分自身である事も、感情移入がしやすい理由の一つだ。そのような鮮明な体験したクルスが目の前でニコニコとした顔をしているのだから、自分も逃げる訳にはいかない。

「うんっ、そうですね!頑張らなきゃですね!」

先ほどのGenの言葉に対し、やはりクルスは明るい声で答えた。

「んじゃ、俺はちょっくらクライアントオーダーでも探してきますよ。」

さっきのクルスが見たという夢のような事態にしてはならないと思ったGenは、少しでも人の助けになろうと動き始めた。

「あ!私も結構オーダーを溜めてたんですよ!一緒に行きましょーーっ!」
「いいですけど…クルスさんが目的としている惑星には行かないかもですよ?」
「だいじょーぶいっ!色んなエリアのオーダーをまんべんなく溜めちゃってますので!」
「…はぁ。そうですか。」

そういった何気ない会話を交わしながら、二人はマイルームから去っていた。

………。
……………。
…………………。

ここはどこだろう。

「……ぃ……」

暗い。………いや、私が眠っているのか。

「……いっ………」

……さっきから何か聴こえる。何なんだ…。

「おいっ!クルスっ!!起きろっ!!」
「っ!!」

私は起き上がり、周囲を見回した。

「よかった……!!目を覚ましたか!!」

私に声をかけ続けていたのは、これまでに幾度と無く任務を共にしてきたハンターの大男、「ガイウス」だ。 私から少し離れた位置に、使用済みのムーンアトマイザーの空ケースが転がっている。どうやらガイウスが使ってくれたらしい。あたりは激しい銃撃戦の音や、テクニックの爆発音、前線にて他アークスに指示を飛ばすリーダー各の男の怒号などが聞こえてくる。今現在、ダーカーによる襲撃を受けたアークスシップの市街地掃討作戦の真っ最中だ。

「………ありがと。ムーン使ってくれて。」

私は簡潔に礼を述べた。
気を失っていた時間は4分といった所か。 たしか……ダーカーの小隊に遭遇し、最後の一匹であるハズのブリアーダにトドメをさした所で、背後をエル・ダガンに襲われ気絶してしまったのだったか。 ダガンの卵を残らず完全に始末したと思っていたが、どうやら見逃していたらしい。

「おい、どうした?お前、様子が変だぞ。まさか打ちどころが悪くて記憶障害が…」
「大丈夫ですって。そこまで甚大な被害はありませんって。 ………ちょっと、夢を見てただけです。」
「夢?」
「……なんて事は無い夢ですよ。今いるこの世界より……ちょっとだけ平和ってだけです。」
「……そうか、ならその夢に近づけるよう、ここでくたばる訳にはいかないな!!」

そんな会話を交わしながら、私は携えた剣影の柄を握りしめつつ、ダーカーの群れへ飛び出して行った。
もうわかっている。戦況はとても厳しい状態にある事を。 この調子なら、あと45分程でこのアークスシップの救助を諦め、放棄する事を決定した知らせが届くだろう。 でも、そうなるとわかっていたとしても、諦めたくはない。

「うぅおおおおぉぉぉぉぉーーッ!!」

私は目の前に見える赤と黒のゴミを、ひたすら、斬り続けていった。

灯台下暗し

へーへー、わかってました、わかってましたよ。
まあ……裏で何かやってるのはわかってたけども。まさか、自分が狙われる立場になるとは思わなかったな。
……みんなは避難させた。あとは…あの子の事だ。俺が狙われるっつー事は…何か無茶でもしたのかね。あの子は突っ走りすぎるからなぁ。いや、別にいいんだ。子供は無茶をするもので、それを危険がないように見守るのが俺たち大人の役目だ。
本来なら俺の命なんてどうだっていいんだが…。死に場所ぐらい自分で選びたい。最後に悪あがきさせてもらうとしよう。
ふぅ、さてさて、とりあえず奴らの所にもう一回お世話になりますか。灯台下暗しってな。 ま、なんとかなるだろう。俺だし。あの子に会えるかな。いや、会えたらややこしい事になるだけか。…でも、会えたらいいなぁ。
……さて、そろそろ腹くくりますかっと。 うまくやってくれよ…俺。お前はほんっとに可愛くないヤツだったけどさ、世界ってのはわりかし捨てたもんじゃねえぜ。
んじゃな。さよなら、みんな。 またな、みんな。 頑張れよ………俺!!

小さな流星

(このタイトルは「灯台下暗し」の直後に投稿された物です。)

…………。
……………。

「……どこだ。ここ。」

辺りを見回す。右にガンスラッシュを装備した男が端末にアクセスしている。左にはタリスを装備した女とソードを背負った男が話している。

「………アークス・ロビー…か…?」

なんだかいつもと雰囲気が違う気がする。
とりあえず身の回りの状況を確認する。 愛用の……じゃない、新品だ。新しいロッドが手元に一つ。財布には最低限生活できるだろうといった金額のメセタ。個人ステータス、名前、イスノキ。

「……金は別にいいが…俺の武器はどこにいった…?」

頭の上に疑問符が浮かぶ。

「ぐっ……頭が……」

頭痛がする。……どうやら混乱しているようだ。今は落ち着いて、後からゆっくり考えた方が良さそうだ。 とにかく丸腰じゃないだけマシだ。武器さえあれば、任務に出て日銭を稼ぐくらいはできる。飢える心配は無いだろう。

「……しゃあね、体動かしてくっか。」

考えていてダメなら動いた方がいい。思う存分暴れた方がストレスの発散にもなる。金も稼げて一石二鳥だ。 あまり確認もせずに任務を適当に一つ受けた。

「んん?あれ…こうだっけな…なんか思い出せねえぞ…。」

さっきから頭がずっと痛い。クエスト受注の手続き、シップ搭乗口の場所、各施設の利用方法。全ての記憶にモヤがかかったような感じがする。なんとか思い出しつつ、ようやくクエストを開始した。

………。
……………。

「……左に原生種二体!!」

潜んでいたガルフの気配を察知し、テクニックのチャージを開始する。

「ワン、トゥ、スリ…」

小さな声でカウントを数える。 視線はガルフから離さず、間合いを保っていく。

「行けッ!!」

そして勢い良くバータを放った。
上手く思い出せない事がまだ多くある。 だが、戦い方は身体に染み付いているようだ。戦闘に関する記憶は全く問題が無い。自分の特性、間合いの取り方、戦法、全て覚えている。記憶障害があるのは痛いが、戦えれば問題ないか。などと気楽にイスノキは考えていた。

「……! そこッ一体!!」

新たな敵の気配を感知したイスノキは、再びバータをチャージし、放った。

#うちの子よその子出会いシチュエーション

得体の知れない生命体、謎の文明によって作られた機械達、息を荒くし鋭い眼光を向ける獣達。通常ではありえない状況。混沌とした魔の領域と化した美しい海岸。そこに一振りの大剣を携えた少女が一人。
対峙するは禍々しい黒き龍。普段は使う事のない鈍重な刃に少女は戸惑いつつも、その細い腕で懸命に龍めがけて一撃を振り下ろす。回避、回避、一閃、回避。どれ程時間が経っただろうか。少女の体力は間も無く限界を迎えるだろうというその時…
龍の爪が少女をかすめた。少女の小さな身体は吹き飛び、剣はさらに遠くへと弾き飛ばされた。少女の遥か後方の砂浜へ突き刺さる刃。その鎮座する姿はまるで彼女の墓標が作られたかのようだった。

「もう…ここまでか…ツイてないなぁ…」

一歩、一歩と大口を開けながら近づいてくる龍。少女が死を覚悟したその刹那。 突如龍の頭の周りに鋼線が現れ、瞬時に頭部に巻きつき縛りあげた。その拘束時間約1秒。…そして次の瞬間、鋼線は無慈悲にも龍の頭を斬り刻んだ。もがき苦しみ叫ぶ龍。

「…自分の血溜りで無様に泳いでな。」

訳が分からず呆然としている少女の前に一人の青年が降り立った。青年は少女の存在には気づいておらず、また龍めがけて鋼線を放ち飛びかかった。少女はしばらく青年の背中をぼーっと見つめていたが、やがてハッと気づき慌てて剣を取りに駆け出した。青年が龍の相手をしている間に回復薬を口に含み、しっかりと剣を握りしめ、少女もまた龍めがけて飛びかかっていった。

「…まだ、運は尽きてないね」

真っ直ぐな銀弾

「ふっふー、ふっふふふーぃ!」

特に意味は無い「ふ」の文字列。 今日は晴れ。彼女の頭の中も晴れ。紛うこと無き晴天。そう、どっちも。

「今日も何かいいことありますかねー、うふふー。」

そう独り言を喋っている彼女の名は、クルス・ブレイヴァント。
異世界の勇者の末裔であり、家は教会。代々伝わる勇者の武術を継承しながら、銃を使った我流の戦法で戦う変わり者の少女。 彼女は鼻歌まじりにアークスシップ内を散歩していた。

「ふふーぬ、ふふ…おりょめそのののの!!?!?」

…唐突。突然。彼女は謎の穴に飲み込まれた。

歪んだ刃

(このタイトルは「真っ直ぐな銀弾」の直後に投稿された物です。)

…時を同じくして、アークスシップ。 一人の少女が突然姿を表した。

「……う…ッ……ここは……?」

…そう独り言を呟く彼女の名は…

……クルス・ブレイヴァント。だが、彼女はクルスであり、クルスではなかった。 先ほどの鼻歌まじりに散歩していたクルスとは間違いなく同一人物であり、別人であった……。

敗走のアクセル

「くっそ…なんでこんな事にぃぃぃ!!」

喧騒に包まれた市街地に響き渡る叫び。しかし、その声はすぐさま爆音によりかき消されてしまった。 鳴り響く轟音を発する機械にまたがったゲンは、右手を握りしめて前方を見つめ続けていた。全身から汗を吹き出すが、その汗は瞬時にゲンのはるか後方へと取り残されていった。今のゲンは機械を乗りこなす事に必死で、「免許をとっておいてよかったなぁ」などという事を考えている暇は無かったのである。 …ゲンはフォトンバイクにまたがり、疾走していた。
そもそもなぜゲンが市街地を走り回っているのかと言うと、それは決して遊んでいる訳ではないのである。 今回ゲンはあるクエストを受けた。そのクエストというのは、「緊急クエスト」に分類される市街地の掃討作戦であった。パーティを組んで緊急事態に加勢したゲンだったが…予想以上の乱戦状態に揉まれ、パーティメンバーとはぐれてしまったのだ。追い込まれたゲンは、乗り捨ててあったフォトンバイクを発見し、それを使って逃げ出したのである。盗んだバイクで走りだしたのである。 …つまりの所、ゲンの後ろにはダーカーの大群が押し寄せている。

「ちくしょぉぉぉ!!ここで終わってられるかぁぁぁぁ!!!」

そう叫ぶゲンの頭の中に、別に何かしらの解決策があるという訳でもなく。ただ勢いに任せて右手のアクセルを握りしめていた。

「ぉぉぉぉッ!?!やべぇッ!!」

曲がり角を曲がった瞬間、目の前に映った光景に背筋が凍る。 カルターゴ3体と、侵食された砲台…カースセントリーが1機。 遠距離攻撃をしてくる厄介な敵が何体もいた。すぐさまその群れを突破はしたが、やはり後方からはレーザーや弾丸が飛んできた。 背後を見ている暇が無いため、後ろの状況の確認はできない。その分、恐怖は普段の物とは比べ物にならなかった。

「も、もう…カンベンしてくれよぉッ!!」

ゲンはアクセルを握り続けた。

『次の角!左!!』

「!?え、えっ!?」

『角!!左だ!!』

突如ゲンの回線に通信が割り込んでくる。発信元が誰かわからないが、確認している暇など無い。 コンマ1秒の瞬間にゲンは悩み、答えを出した。声に従い、ゲンは左に曲がる事にした。
左に曲がったが…特に変わった事は無い。これまでに何度も見た光景と同じようなものが視界に広がっている。 ……と思ったその瞬間。 ――ドンッ!!!

「な、なんだッ!?」

ゲンの背後に衝撃が走る。背後といっても真後ろの地面にではない。フォトンバイクのシートの後ろ部分にだ。 敵襲かと思ったゲンは必死に首を後に回そうとする。…その瞬間。

「よそ見するなっ!!」
「っ!?」

自分の物ではない声がひとつ。ゲンの鼓膜に突き刺さる。

「アリーナへ向かって!!説明は後だッ!」
「えっ、えぇ…!?」
「いいから早く!!」

どうやらシートの後部分に居座っているらしいそれは、ゲンに対して簡潔に指示を出す。
…けれども、ゲンはその声に対して違和感を覚えていた。とても聞き覚えのある声だったからだ。

「…その声、ま、まさかっ」
「だからよそ見するなッ!!後ろから追っ手が20体以上!急げッ!!」
「ば、バクさんッ!!?」
シート後部分の狭いスペースで器用に立つそれは、ゲンが師と仰ぐ人物…役者を自称するアークス、バク・トザだった。

「…驚かせてごめんね。…どうにかしてここを切り抜けるよ!」

そう言って彼女は後を見据えながらバレットボウを構えた。

凍土の妖精(嘘)

右を見る。白い。
左を見る。白い。
前も後ろも、白い。
足元は言わずもがな。白い。

「うっひー、さびぃぃ…!」

一面の銀世界。惑星ナベリウスの凍土エリアに降り立ったゲンは、自然とそう声を漏らしていた。寒いと呟きながらも、どこか余裕を感じられる口ぶりだった。というのも、ゲンは実のところ雪国の出身なのだ。彼が住んでいたアークスシップの農業区は、質の高い野菜類を生産するために、あえて厳しい気候条件に設定されていたのだ。毎年、冬の時期になれば雪が多いに積もり、ゲンはこの凍土の光景に懐かしさすら感じていた。ゲンが今回受けた任務は「惑星ナベリウス凍土エリアの自由探索」。いくつかのクライアントオーダーを達成するために、この凍土に来たようだ。

「さーて、台本の内容はバッチリ入ってる!…行くぜェェェェェ!!!」

ゲンはクエスト中、役になりきって任務を行う趣味がある。 【ネッケツ】の役になりきり、ガンスラッシュ片手に凍土へと繰り出していった。

――ニ時間ほど経過した頃だろうか。 ゲンは、壁に穴が空いた程度の浅い洞穴で休憩をしていた。

「えーと…ガルフルの肉…マルモスの肉…あとはキングイエーデの討伐が…」

水筒に入れておいた温かいお茶を片手に、目の前に端末を展開させて操作している。おそらくクライアントオーダーの達成状況を確認しているのだろう。入手した収集品などもゲンの前に広がっている。

「よしッ!!運が良ければあと1時間ってところか!!!」

残りのやるべき事を確認し、ゲンは洞穴を出るべく準備を進めた。 …その時。

「ぶぇふッ……ず、ずずず…ぐぐぐぐ……」
「うぉあッ、敵かッ!!?」

背後から不気味な音が聞こえる。驚いたゲンは思わず背中に提げていたガンスラッシュの柄に手をかけた。瞬時に音の方向へ、剣先と銃口を兼ね添えた先端を突きつける。

「う…うぅぐ……うぅ…」
「…!?」

今の音…よくよく聞いてみたら人の声のような気がした。

「…誰か、いるのか…?」

もしもの事態が頭によぎる。ゲンは自然と役から外れて、素の口調に戻っていた。 洞穴の奥へと歩みを進める。その瞬間、少し高く積もった雪が少し動いた。

「…!! おいっ、誰か埋もれてるのかッ!!」

ゲンは無我夢中で雪の山に飛びつき、素手で雪をかき出し初めていた。 指先が凍りそうなほど冷たかったが、そんな事も気にしていない様子で必死に雪をかく。…やがて、音の主が正体を見せる。

「……え?」

ゲンの手が一瞬止まる。雪の山から出てきたソレは、「雪だるまの頭」であった。安っぽそうな、プラスチック製だった。

「……な、な…」

ゲンは戸惑いを隠せない様子で驚きの声を漏らしている。

「へ、へぐちっ……ぶ……ぶ…」

その時、またソレから声が聞こえた。間違いない。さっきの声はこの雪だるまから聞こえてきたものだ。とにかく、助けださなければとハッとしたゲンは、再び雪をかきはじめた。この不気味な雪だるまの体は一体どうなっているのだろう…。 そんな疑問をかかえつつ雪をかきだしていると…驚いた。いや、これまで何度も驚いているが、また驚いた。なんと小さな体が見えてきた。服装はマントがついた、全体的にボディライン隠すデザインの物だったため性別まではわからなかったが…身長から判断するに、恐らく12歳から14歳あたりと言った所だろうか。

「…って子供がこんな凍え死にそうな状態ってヤバイじゃねーかッ!!」

ここまで考えて、ゲンは自分で自分にツッコミをしていた。確かに、まだ未成熟な体でこのような雪に埋もれてしまっている状態はとてもマズい。ゲンは冷静に然るべき対処をすべく、思考を張り巡らせる。

(まずは…救援!キャンプシップに急いで戻らなきゃ…!)

急いで手持ちのテレパイプを起動させる。…しかし。

「…あれ?」

おかしい。テレパイプは展開こそしたものの、転送機能が起動した気配が無い。

「ど、どうしたってんだ…!?」

ふと外に目を見やる。…いつの間にか洞穴の外は雪風が吹き荒れる吹雪となっていた。

「…なっ、通信障害…!? 吹雪のせいで連絡が取れないのか…!?」

座標値が正確にやりとりができない状態で、転送を無理やり決行するのは危険だ。

仕方ない、とゲンは次の手段に移るべく再び思考を張り巡らせる。今できる事を、必死に探す。

(…とにかく、助けを…!!)

やはりゲン一人でこの状況をなんとかするのは難しい。携帯端末のアドレス帳を開き。ゲンが最も信頼を寄せる人物の項目をタッチした。 端末の画面には「接続中」の文字。待つ事…1、2、3。繋がった。

《……ただいま通信に出る事ができません。ピーという…》
「……ダメか、繋がんねえ…ッ」
《……っていうのは嘘でバッチリ繋がってるよ?》
「んがッ!!」

ゲンは盛大にズッコケた。

《…へへ、似てた?留守電案内のモノマネ。》
「…な、何してるんですか…バクさん…!」

ゲンが通信接続した相手。それはバク・トザであった。実に誇らしげな声だ。恐らく携帯端末の向こうでとても満足気な顔をしているに違いない。

『……それで、どうしたの?何か用?』
「あッ……ええと、実はかくかくしかじか…」

ゲンはバクに現在置かれた状況を詳細に説明した…。

『……なるほど、吹雪で身動きも連絡も取れないしで八方塞がり…。それで僕に連絡をとってみたと…。』
「はい。」

「それで、連絡がついたって事はやっぱりバクさんはナベリウスに…?」
『そう。吹雪があっても距離が近いからね。…だからすぐ向かえると思う。でも問題が一つあってね…。』
「な、何ですか?」
『ぼくもざむぐでうごげない』
「………。」

ゲンは頭を抱えた。このバク・トザという人物。役者を自称する変わり者(ゲンもそうなのだが)ではあるけれど、アークスとしての実力は少なくとも信頼できる。 …が、極端な寒がりであり、どういう訳かは知らないが砂漠での任務も嫌いだという、とても面倒なタチの持ち主なのだ。

「と、とにかく、このままじゃお互い危険です!どうにかして合流しましょう…!」
『あ゛ーうん…大丈夫…どうにかして向かうから安心して…座標データを共有しとくね。これでお互いの位置がわかるハズだから…。』

周囲のマップ情報にマーカーが2つ表示される。…どうやらバクはそう遠くは無い位置にいるようだ。

『少しでも吹雪が弱まればそっちに向かうから。…それまでどうにかして持ちこたえさせて。』
「すみません、ありがとうございます…!」
『…いいよ。じゃね。』

……通信は途切れた。

「……よし。」

助けは呼んだ。あとはこの雪だるまにできる事を尽くさねば。

「吹雪の中を走るのは…10歳の頃以来か?あの時は死ぬかと思ったっけなぁ。」

そう呟いたゲンは全身の力を込め…

「…すぐ近くにあるな…。よし、行くぞッ!!」

ガンスラッシュ片手に飛び出していった。 柄を力強く握りしめ……フォトンの力を全身に巡らせる。 その力を一点に集め…開放する。

「《トライインパクト》ッ!!」

そのフォトンアーツを放つ先は…枯木だ。
当たりどころが良かったのか、枯木はあっけなく倒れた。

「よし、こいつを向こうまで…」

ゲンは倒れた枯木を引きずりながら洞窟に戻っていく。

「重っ……。」

無理だった。どうしよう。

「あ、枝だけでいいか…」

いけない。頭が冷静さを失っているらしい。ゲンは急いで枯木の枝を削ぎ落とし、両腕いっぱいに枝を持って洞穴に戻る。

「うー、さみーさみーっ」

枝を放り出し、ゲンはかじかんだ手でアイテムパックにアクセスする。 指先を動かし、一つの項目を選び、決定のボタンを押した。ゲンの背中からガンスラッシュが消え、代わりに別の物体が実体化し始める。アイテムパックから取り出した物…それはランチャーだった。

「ちょっと荒っぽいけど…これが一番早いしな」

無意識の中で神経が働き、フォトンアーツを使用するために全細胞が動き出す。大気中のフォトンの取り込み、固着化、…そして完成したエネルギーが武器から放たれる。

「《フレイムバレット》ッ!!」

ランチャーから炎が吹き出る。ごうごうと音を立てて燃え盛る紅蓮の炎は、枯木の枝にあっという間に火をつけてしまった。焚き火が出来上がった。この様子ならしばらくの間火は持ちそうだ。

「…よいしょっと。随分華奢な体してるな…」

ゲンは雪だるま頭(を被った何か)を抱えて、焚き火の側へと運んでやる。

「…ブシュッ。…ずず」

……幸い、まだ息はあるようだ。だが、油断はできな…

「……ほ、おおぉ。ほおおおぉぉ。」
「! 気がついたのか!」

……どうやら目を覚ましたようだ。よくわからないが目の前の焚き火がどうやら神か何かに見えているらしい。少しでも熱気が多く体に当たるようにと大の字のポーズで炎の前に立ち始めた。

「よかったぁ…。でも危ないぞ、もうちょっと離れとけ。」

ゲンは焚き火の前に立つ雪だるまに火から離れるよう促す。

「む、むむぶぶぶぶ。」

……了解したらしい。雪だるまは震えながら少しだけ後退した。

「ほら、飲んどけ。温まるぞ。」
「…ふへ?」

雪だるまの前に湯気が立ち上るカップが一つ差し出される。それはゲンが持ってきた水筒の中身であり、まだ十分に暖かいお茶だった。

「おおおぉぉ、おおおお。」
「……喜んでる…んだよな…?」

奇妙な声をあげる雪だるまの頭は震える手でカップを受け取り、そのまま口に運ぶ。
…ガツッ。

「…………。」
「……いや、そのお面は取れよ。」

雪だるまの頭に当たった所でカップは動きを止めた。

「………………。」
「どうした?飲まないのか?」

雪だるまはカップを持ったままガタガタと震えているだけで、それ以上動こうとしなかった。もしかすると、雪だるまの仮面を取りたくないのだろうか。
「えーと…もしかして…顔を見られたくない…とか?」

こくこくこくっ。すごい勢いで雪だるまの頭が上下運動をした。 顔によほどのコンプレックスでもあるんだろうか。そんな事気にしないのにな、とゲンは心のなかで思いつつも解決策を考えた。

「……わかった。それなら俺は後ろを向いてる。そうすれば顔は見られないだろ。」
「………みない?」
「ああ、見ない。」
「ほんと?」
「本当だ。」
「ほんとにほんと?」
「本当に本当だ。」

子供のようなやりとり(片方は恐らく本当に子供だが)を交わして、雪だるまはやっと納得したのか、仮面を外して地面に置いた音が背後から聞こえた。見ないとは言ったものの、後ろでがさごそと音が聞こえてるとやはりどうしても気になってきた。少しぐらいなら…といった甘い考えから首の角度を回しそうになるが、いやいや約束を破るのはダメだろうと思いなおしてゲンは壁を意味もなく見つめ続けた。

「……ずず、ずずずぅ、うぬ、ず」

……あまり行儀は良くないらしい。啜る音がとにかくうるさい。 ゲンもズボラな所があるのであまり他人にとやかく言う事はしないが、それにしたってすごい音だった。近くでドリル型の武器でも唸っているのかと思うくらいうるさい。ほう、と一息つく音が聞こえた。そろそろ飲み終えただろうか。声をかけてみよう。

「もういいか?」
「ほぁっ、まつ、まつ。」

慌てて仮面をかぶり始めたようだ。もぞもぞと音がする。

「よい、よい」
「はいよ。」

向き直るとさっきと同じ雪だるまがいた。しかし、さっきより元気になった事は手足を無意味にじたばたさせている様子から読み取れた。どうやら体の芯からしっかり温まったようだ。
「うまかったか?」
「あんまり。」
「……正直に言うなぁ。」
コップを受け取りながらそんなやりとりを交わす。……そろそろ、何か聞いても大丈夫だろうか。この雪だるま、とにかく謎が多すぎる。 何故、顔を隠している? 何故、こんな所にいる? 何故、埋もれていた? そもそもアークスなのか?一体目的は何だ?……あまり質問攻めにしても可哀想だろう。 ゲンは頭の中で慎重に言葉を選択していた。

「……お前、なんでこんな所にいるんだ?」
「……う?…………。」

雪だるまは黙りこくってしまった。 ……こりゃだんまりかな。 そう思ったその時。

「ひと……さがして、る。」
「人…?いるのか、ここに?」

こんな所に人なんてアークスしかいない。

「わからない。」
「いや、わからないって…。あ、パーティとはぐれたとか?」
「ちがう。ひとり、もとから。」
……ますます訳が分からなくなった。
……あまり言葉が通じるようには思えない。 まあいいか、こうして無事に保護できただけよしとしよう。あまり他人の事にずけずけと聞きこむのもな、とゲンはそれらしい理由を見つけて詮索はそこまでにする事にした。

「ま、いいや。これ、食うか?」

と、アイテムパックからゲンが取り出したのは、街で売っていた携帯保存食だ。甘い味付けがしてあり、腹持ちもそこそこ良いので若いアークスの間でそれなりの人気を持つ商品である。

「お、ほ、お菓子!!お菓子!!」

雪だるまは興奮した様子でゲンが持っている携帯食を見つめている。 やっぱり子供のようだ。餌付けのつもりは無いが、わかりやすい奴だなと思いつつ、そらっ、と声をかけてゲンは携帯食を雪だるまに軽く投げた。 ――その時。

「うぅうぅ゛ぅさぶいさぶいさぶい…いやー、遅くなってごめんね…」

一人、人影が入り口に立っていた。その一瞬の出来事をゲンは見逃さなかった。 雪だるまは宙を舞う携帯食から視線を外し、声の主の方を向く。
その人物を見るなり雪だるまは腰に手をかけ――

「…レイジングワルツッ!!」

目にも留まらぬ疾さで、駆け抜けた。
――とさっ、と。音を立てて携帯食は雪の上に落ちた。

「お、おいッ!?」

……しまった。あまりに唐突な出来事だったので反応が遅れてしまった。
ちゃんとこの目で見ていたのに。いや、ちゃんと見ていたからこそかもしれない。 雪だるまはツインダガーを抜刀し、新たに現れた助っ人に…つい先程呼んだバクに斬りかかっていた。

……。
………。
…………。

がちがちがちと、金属が震える音が聞こえる。 かと思ったら、今度はがぁんっ、と耳をつんざくような大きな音がひとつ。 鍔迫り合いの音だった。それは、僕が愛用のカタナで防御をしていたから聞こえた。
わけがわからない。僕は、ゲンを助けに寒い中必死にここまで辿り着いたはずだ。なのに、なぜ僕は。

――アークスに襲われている?
目の前のふざけた格好をしたアークスは、どこぞの安っぽいマスコットみたいな頭で。あんなの市街地の小劇場でも今どき見ない。

「……何これ。新手の罠?」

ゲンに答えを求める声が、つい攻撃的になってしまう。ああ、鏡で見たら、多分今、僕は怖い顔してるんだろうなぁ…。

「ち、違いますッ!!おい!何してるんだ!その人は助けに――」

慌ててゲンが訂正をし、そして僕の事を説明しようとした時。

「……見つけたッ。」
「え?」
「は?」
……見つけた?
……それはもしかしなくても、僕の事を指して言った言葉に間違い無いだろう。 この雪だるまは、僕の事を探していた? いやいや、待て待て。こんなユニークな頭をした知り合いなんか一人もいない。

「えひぇひぇひぇひぇひぇッ!!オウルケストラーッ!!」
「ぐッ!!」

そんな事を考えてる間に次の連撃が飛んでくる。 どうする。どうすればいい。僕は、このアークスを斬ってもいいのか? いや、それは得策とはいえないだろう。発生するデメリットが多すぎる。
相手の武器を見る。あの円形の形状…間違いない、《ツインチャクラム》。僕の記憶が正しければ、あれはファイターにしか装備できない武器だ。 相手のクラスはファイターで間違いないだろう。
対人戦の経験ならばそれなりにある。僕はキダチ先生と手合わせを毎日のようにしていたし、養成学校でも訓練は積んでいた。 体格は同じくらい。いける。集中を切らさなければ全ての攻撃を防御できる。

「あはははッ!!あはははははははッ!!」

――がきん、がきん。
けど、どうすればいい。このままじゃ、いずれはやられてしまうかもしれない。 どうにか相手を無力化させないと。無力化…無力化…気絶でもさせる事ができれば…。 ………気絶?

「ゲンッ!!」

僕は雪だるまの連撃を防ぎながらゲンに向かって声を飛ばした。

「は、はいッ!」

ゲンも混乱していたらしい。どうすればよいかわからず、必死に雪だるまを静止してはいたものの、戦闘には介入できないでいた。

「コイツに向かってッ…ぐぅッ……早く…スタングレネードを……ッ!!」

そう僕が叫んだ瞬間だった。
――カッ。

「……え?」

目の前に閃光が走り…そして、僕の意識は途切れた。

……。
………。

目の前に走った閃光の正体。それは、間違いなくスタングレネードの物だった。 決してゲンが投げ間違えたのではない。まだこの時点でゲンはスタングレネードを投げていなかった。 …そして、この時。雪だるまも《バクと同じ考えに辿り着いていた》のだ。サブクラスがレンジャーだったのか、あるいはゲンからこっそり拝借していたのかは定かではないが…スタングレネードを投げたのは、雪だるまだった。 バクは硬直し、戦闘の構えを保ったまま魂が抜けたように呆けてしまっている。

「ほ、ほッ!!ハハハハハッ!!!」

雪だるまが、ツインダガーを思いっきり振り上げながら跳躍した。 いけない。このままじゃバクがやられてしまう。 その時だった。…ゲンの頭脳が、急速に冷却されていった。
――どうする。どうすればいい?どうすれば、バクさんを、雪だるまを二人共傷つけられずに止められる?あのツインダガーを俺のガンスラッシュで撃ち落とせば…いや、ダメだ。こんな急に撃っても狙い通りに当たるかわからない。どうすればいい。どうすれば…!

「あああぁぁああぁぁあぁあああッ!!!」

雪だるまが絶叫する。その両手に振りかぶった双小剣を思いっきり振りかぶって…そして、目の前の少女に…振り下ろし

「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!」

気づくと身体が勝手に動き出していた。もう、これしか方法は無い。二人共傷つけずに争いを止める方法。何故、あの雪だるまがバクさんを狙うのか、理由はわからない。だけど、そんなの黙って見過ごす訳にはいかないんだ。昔、バクさんがオレを助けてくれたみたいに、今度は――

「………ぉ゛ッ!?」

――オレが、バクさんを助ける番だ!!

「………ゲンッ!?」

雪だるまの腕は止まっていた。いや。止められていたのだ、目の前の男によって。足元の白い雪が赤く染まる。
ゲンは、雪だるまのツインダガーを直接掴んで止めていた。手からは紅の血が滴り落ち続けている。

「ぐッ……!!」

一歩間違えれば手が斬り落とされていた。いや、次の瞬間には落ちているかもしれない。あの雪だるまがこのツインダガーを引けば、ゲンの手は血液と共に白銀の大地へと落ちていくだろう。そのあまりにも常軌を逸した行動に、僅かだが雪だるまが怯んだ。その瞬間を、バクは見逃さなかった。

「…ッ、どけえッ!!」

ゲンを横に押しのけ、瞬時にカタナで斬り上げた。

「ぐ、ぐッ」

バクの斬撃が雪だるまに当たり…そして…

「!!」
「!?」
「…!?」

次の瞬間には、三人がみな同じ表情をしていた。
一人は、被っていた雪だるまの仮面を割られた事に対して。二人は、雪だるまの素顔を見て。驚きの表情を見せていた。

シャキューさんのついったーまとめ

シャキューさんのついったーまとめ

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-26

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 遠くの夢
  2. 灯台下暗し
  3. 小さな流星
  4. #うちの子よその子出会いシチュエーション
  5. 真っ直ぐな銀弾
  6. 歪んだ刃
  7. 敗走のアクセル
  8. 凍土の妖精(嘘)