死んでしまいたいなぁ
大好きな家族より先に死にたいなぁ。
秋の夕方に
白い壁がオレンジに染まる
近くの鉄筋工のカンカンならす音が響く
暑くも涼しくもない午後
干したばかりの布団の柔らかさ
片付けをまつ扇風機
夏の名残
ハンガーにかかる薄手のセーター
床の上には茶色のカーペット
秋の準備
後こんなことを何回出来るだろう
誰かの消失を考えることなく
秒読みされることなく
消失を体感など、もうしたくはないなぁ。
ベランダの格子にもたれかかり秋の街を見る
穏やかな秋始まりに
オレンジ色の壁に
暑くも寒くもない今日に
どうか来年、これからを見ずに済みますように
大好きな家族より先に死にたいなぁ
誰にも死んだことすら気付かれないようにしながら
ひっそりと行方不明のような
始めから何も無かったような
ひっそりと穏やかな秋の夕暮れに
神隠しにあった子供のように
死んでしまいたいなぁ。
死んでしまいたいなぁ