藍色

リクエスト*藍夢


「怜奈、今日と明日オフでしょ」

平日の朝、
珍しくオフの藍が心做しか声を弾ませて尋ねてくる。

『うん、そうだけど…』

「僕もなんだよね」

『へぇ、珍しいね』

人気グループ、QUARTET★NIGHTのメンバーであり、
また個人でもモデルやタレントとして活躍している、所謂売れっ子なのだが。
…もしかして最近は人気が落ちているのだろうか。
いやでも昨日の夜も音楽番組に出ていたし…

と、あれやこれや頭を捻っていると、藍が更に言葉を続けた。

「怜奈、デートしよう」

『………へっ!?』

「ここしばらく、僕ら二人とも忙しくてマトモに時間取れなかったでしょ」

『そ、そうだけど…』

「…どうしたの、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して」

『ううん…その、』

決して冷たいとか、そっけない訳ではないけれど、何時もの藍はもっとこう…クールだ。
デートしよう、なんて間違っても言わない(と思っていた)のに。

はじめは混乱していたが、久々にデートができるという事実に嬉しさがこみ上げてきた。

「怜奈が嫌なら無理にとは…」

『行くっ!行きたい!』

「…そ、よかった」

『ちょっと着替えてメイクしてくる!』


怜奈は自分の部屋に戻り、クローゼットからお気に入りの服たちを引っ張り出す。
久々のデート、何を着ていこうか。


『うーん…スカートの方がいいかなぁ…あっ!』

と、思い立ったようにクローゼットに向き直り一着のワンピースを取り出す。
一目惚れして買ったはいいものの、中々着る機会がなかったパステルイエローのフィッシュテールワンピースだった。

袖を通し、全身鏡で頭からつま先までチェックする。

『…うーん…と、……』

髪をポニーテールにし、前に藍から貰ったリボンで括る。
それからメイクを薄く済ませ、最後にもう一度チェック。

『…よしっ』



リビングに戻ると、すでに着替え終わった藍が待っていた
こちらに気づき、少し頬を緩ませて近づいて来る


『ど、どうかな?』

「すっごくかわいい」

『ありがとうっ!……その、あ、藍もかっこいいよ』

「よかった。…行こ?」

『うん!』


手を繋ぎ、久々のデートがいよいよ始まった。

**



ショッピングをして昼食を食べた後、
藍に「寄りたいところがある」と連れられてやってきたのは、アクセサリーショップだった。
そんじょそこらのお店じゃない。
TVでも紹介されるほど有名で、すごく高価な物ばかり取り扱っている超高級ブランドだ。
怜奈も撮影で数回身につけたことはあるが、その時のスタッフの緊張は半端じゃなかったのを覚えている。

『ここすごい高い所…』

「頼んでたの取りに来ただけだから、大丈夫」

『大丈夫って…』

何が大丈夫なんだろう、と思いながらも、怜奈はショーケースに並ぶアクセサリーを眺めていた。
宝石には詳しくはないが、それでもいい物だというのがわかる。
……怖いので、値札は見ないようにした。


暫くすると藍が紙袋を下げて戻ってきた

「お待たせ」

『どうしたの?欲しい物でもあった?』

「うん、ちょっとね。…じゃあ、次いこうか」

『つ、次ってどこ?』

「秘密、着いてくればわかるから」

そう言うや否や怜奈の手を握りお店を出て、楽しそうに歩き出した。
こんな楽しそうな藍は久々にみたかもしれない。
なんて思いながら、怜奈もワクワクしてついて行った



**


『わ、すごい…』

連れて来られたのは、有名なホテルのレストラン。
夜景がとても綺麗に見える。

『なんか緊張する』

「そう?」

『うん、なんだかこういう場所って慣れなくて。ドラマみたい』

「ドラマ…」

『うん、ほらよく見るじゃない?こういう夜景の綺麗なレストランで恋人たちが…』

プロポーズをしたり、と言う前に、藍の口によって言葉は塞がれた。

「っ…怜奈、言いたいことがあるんだ」

『う、ん…?』

「……これ」

差し出されたのは先ほどお店で買ったらしい小さな小箱。
…これって、もしかして

「指輪、なんだけど」

『な、え…』

「手、出して。左手」

混乱しながらも言われるがままに手を出すと、
小箱から華美なリングを取り出しそれをそっとはめられる。
はめられたのは、薬指、だった。


『え…藍、これ…』

「怜奈、僕と結婚して。
…って、言っても…あと二年先だけど…」

『…………』

藍の声が頭で反響する。
結婚?結婚って、夫婦になるってこと?
私と、藍が?

「…怜奈?」

『あ、藍……その、…私…』


嬉しさが段々と溢れてくる。
その嬉しさは涙となって、怜奈の瞳を濡らした


『わ、私、で…いいの…?』

「怜奈がいい」

『藍…っ』

「怜奈、愛してるよ。必ず幸せにするから。」

涙を優しく拭い、微笑むその顔は、
何時もよりずっと大人っぽい。

「…で、怜奈からの返事は?」

『えっ、あ…こ、こちらこそ、よろしくお願いしますっ』

「…よかった。じゃあ部屋にいこう?上の階にとってあるから」

『へっ?あ、うん…?』


そのまま手を引かれ、連れられたのはホテルの最上階にあるスイートルームだった。
部屋もベッドも窓も大きい。

『…綺麗。でも、こんな豪華な部屋…』

「僕は蘭丸と違って普段お金使わないから」


なるほど、と納得し、ベッドに座る。
隣に藍も腰掛けた。

「…お揃い」

嬉しそうに掲げる左手には、お揃いのリング。

『…これ、夢じゃない、よね…』

「午前零時の鐘がなっても、解けないよ」

『…藍、』

「なに?」

『大好き』

「僕も」


君を抱きしめていたい、ずっと永遠に。

End

藍色

藍色

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-22

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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