信号

ふと目が覚める。まっくらな部屋。部屋に響くギターの音とかろやかな英語の歌詞。布団からはみ出した足先が少し肌寒い。

今は何時だろうとか、いつ寝てしまったのかなどとぼんやりと考える。たしか日本史の資料集を読むのに飽きて伏していた。うっかりそのまま眠りにおちてしまったようだ。それをみつけて母が電気を消してくれたのだろう。

暗闇に少しなれた夜目であたりをぐるりと見渡す。それから伸びをして、のっそりと身体を起こす。

窓の外にちかちかと光る点があった。わたしはなんだかそれから目が離せなくなってしまった。静かにじっと一点をみつめる。対してわたしの心臓は点滅する点に呼応するごとくどくどくと忙しく騒ぐ。まるでわたしとあいつだけにわかる言葉で交信しているようだ。

点から光が四方へ広がり、視界を埋め尽くす。そんな気がした。

きっとこいつにはなにか名前があるはずだと思った。わたしはいままであんなに明るいものをきっとみたことがない。あれだろうかこれだろうかととりとめもなく考える。答えは出なかった。

ベットから離れて机の上のコップに入った水を飲む。そのまままたベットへと帰る。さっきと同じ位置にちょこんと座り、窓の外を眺める。

今度は窓いっぱいの景色を一つの額にいれた気持ちで鑑賞する。しかしやはりある一点ばかりがわたしの目に留まる。

わたしはその一点のきらめきを忘れないようにしっかりと心にとめて床についた。

信号

星をみて歩くのが好きです。星座はよく知らないのですが、いつか勉強してそのストーリーを人に語れるくらいなるのが目標です。

信号

ある日の夜のこと。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-21

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