君と歩くと決めた日
3月24日 それはさわやかな朝だった
「それじゃ私行くから」
黒髪の綺麗な女性が、名残惜しそうにつぶやく。
周りの景色は見覚えのある町、僕たちが8年前に捨てた町。ビルも畑もコンビニも、当時のままであるこの景色を見て、僕はすぐに夢だと気づく。
ただ、どうしても言葉にしたいから、してしまうから、いつもいつも叫んでしまう。
「いくんじゃねーーーーーーーーーーー」
そしていつも、目を覚ます。
僕の名前は日野 雅隆(ひのまさたか)。仕事はWEBデザイナーをしているボサボサ髪の冴えない27歳である。家は裕福とは言えないが、6歳になる娘と二人静かに暮らしている。
君と歩くと決めた日