みえるもの

僕の幼なじみの志織は眼鏡をかけている。

その姿はとても凛としていて僕は好きだ。

・・・なんて言えない。

ある日、イタズラで志織の眼鏡をとりあげた。

「返してよー」

と言う彼女の声を聞きながら、テーブルの向かい側から眼鏡をかけていない志織の「素顔」
もまたいいものだと思いながらニタニタ見ていた。

・・・なんて言えない。

「もうー眼鏡がなかったら貴臣の顔見れないよー」

えっ

「この距離でも?」

「うん、のっぺらぼうみたい」

それは嫌だ。

僕は志織に眼鏡を返した。

みえるもの

みえるもの

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-09-18

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